わんこと共存?7



 真太郎は別れを告げた気満々だったが、犬はどこまでも真太郎の後を追ってついてきた。

 コンビニに入る時も中までついて来る始末。
 足で必死に追い払うが、結局真太郎の後に犬がついてきてしまう。


 そんなこんなでコンビニの入り口で攻防していると、早朝バイト組の林が変人を見るような目でこっちを見ていた。


「あれ、大見さん? 何してるんですか?」

「この犬が離れなくて困ってるんだよ」


 私立の大学に通う林は、何となく大見を見下したような節がある。中卒、バカ、内心はそんな風に思っているのだろう。


「大見さん、それ犬じゃなくて、狐じゃないですか?」


 今回の林もそんな感じだった。


「んな訳ないだろう。大体こんな公道に狐なんか出る訳」

「この辺って狸とか狐がたまに出るんですよね。もしかして、餌とかあげちゃったとか?」


 その言葉にギクっとする。


「野生の動物に餌付けすると、人間から簡単に食べ物が貰えちゃうって思っちゃうんですよね」


 思い当たる節があり、真太郎は思わず黙りこんだ。


「あ、保健所に電話してみればどうですか? でも犬だと思ってるなら、動物愛護団体の方が良いかもしれませんね?」

「うるせえな、少しは黙れ眼鏡」


 眠気と疲れ、ニコチン切れで、苛々が爆発した。どこまでも小馬鹿にしたような態度に、真太郎の心も平然としていられなくなる。


「なっ!」

「人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって、殴られてえか、え!?」


 少し凄みを聞かせれば、林は簡単に黙った。きっと喧嘩なんかした事ない部類の人間だろう。


「これ以上馬鹿にしたような口聞いたら、分かってんだろうな」


 林の怯えている顔を見ても、ニコチンが切れているせいか、全くすっきりしなかった。舌打ちをして、コンビニを後にした。


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