わんこと共存?6


 面白くない。
 何がと聞かれれば、犬に生活を網羅され始めている今の状況が、だ。


 他のライターを取ろうと鞄を開けて、ライターを手にすれば、必ず犬が飛んでくる。
 再び始まった犬とライターの攻防は、ドンと隣に続く壁を叩かれた事で終わりを迎えた。


「……」


 なんの陰謀か。この禁煙犬め。

 前の飼い主は禁煙する為にこいつをつかったに違いない。
 真太郎が行動を止めれば、犬も大人しく座っていた。
 これ以上、下手に騒いで大家を呼ばれたらもっと面倒な事になる。


「全く、余計な事躾けてくれるぜ」


 前の飼い主に毒づいて、真太郎はもう一度コンビニに向かうべく、靴を履くと犬も一緒についてきた。


「おっ! お前外に出る気になったのか!」


 あんだけ外に出ようとしなかった犬が、真太郎と共にあっさり外に出た。
 さっきまでの攻防は何だったのかと思うが、最終的には外に出てくれたので、忘れる事にする。


「今度はもっと優しそうな飼い主について行くんだな」


 そう声をかけ、真太郎は別れを告げた。


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