わんこと共存?5
全く持って面倒臭い近所だ。
こんな事なら都心の方がよっぽど快適だった。大型トラックが通る度に地震のように揺れたり、電車の音がうるさかったりするが、近所にこんな五月蝿いおばさんはいなかった。
はあ、とため息をついて、部屋に戻る。
相変わらず犬はソファに座っていたが、真太郎は全てが面倒臭くなって、その横に座った。
「お前のせいでアパート追い出されたら、責任取ってもらうからな」
文句を言わなきゃ、真太郎もやっていられない気分だった。
気晴らしに、ポケットから煙草を取り出し口に咥える。
ライター、と視線を這わし、テーブルに上にあるライターに手を伸ばすと、今まで大人しく座っていた犬が突如動いた。
ゲシッ!
ライターを掴んだ手に、猛烈な犬のタックルを食らう。
ライターがフローリングを勢いよく滑り、ベランダの桟に入った。
「てめぇ!」
犬に文句を言っても始まらない。
真太郎はバイト明けの重い腰を上げ、桟に挟まったライターを拾い上げようとする。
腰をおろした真太郎の顔に、再び猛烈な犬のタックルが決まったのだった。