わんこと共存?2
深夜組と早朝組が入れ替わり、6時に店を出た。
期限切れのお弁当とパンを片手に、アパートまでの短い道のりを辿る。
カンカンと音の鳴る階段をあがると、何やら白い毛皮のようなものが自分の部屋の前に落ちているのに気がついた。
白っぽい、金まじりのふさふさの毛。
よく見れば、毛にまぎれて、足や耳もある。
「なんだこれ、犬か?」
真太郎の言葉に反応したのか、その白い生き物はクゥーンと一声鳴いた。
チワワや柴犬っぽさもあるが、犬種に詳しくない真太郎にはこの犬が何犬だかはよくわからない。
つぶらな2つの目に見つめられて、真太郎も思わず頬が緩む。
「どうした、お前。迷ったのか?」
動物は割と好きだ。
中でも、猫より犬の方が従順で可愛いから好きだった。
真太郎がその犬の耳の後ろを掻いてやると、気持ち良さそうに目を細める。
躾のされている、おとなしい犬だった。
「飼い主はどうしたんだ?」
リードはしていなかった。きっと飼い主が首輪を付け替えている時に逃げてしまったのかもしれない。
「お前、腹減ってんのか?」
「クゥーン」
まるで返事をするかのように鳴いた。