わんこと共存?9
「欲求不満半端ねーわ、こりゃ」
明日この犬をどうにかする方法を真面目に考えよう。そう心に決め、真太郎は目を閉じる。
「クゥー」
耳元で鳴き声が聞こえたと思うと、犬は口の周りをペロペロ舐め始めた。
「くすぐってえよ。眠いから寝かせろ」
払いのけるようにしても、クンクンと鼻をすり寄せられながら、何度も顔を舐められる。
最初は口周りだけだったが、次に目、耳ときて、くすぐったさで飛び起きた。
「何してやがる、ばか犬! 俺は眠いんだよ!」
怒鳴ればやっている事が悪いと思ったのか、犬はのろのろと真太郎から距離を取った。
待てという事が分かったのか、犬がちょこんと座ってじっとこちらを見ていた。
「そうそう。分かればいい。マジでそのまま起きるまで大人しくしててくれ」
真太郎は深くため息をつきながら、また枕にダイブする。
夜勤明けで疲れきった真太郎の意識は、すぐに微睡みの中に消えていった。