平和な朝?5
その後、朝食を取りながら、他愛ない世間話と将来の話をした。
適度な距離感と、沈黙が苦じゃない空気感。
出会って2日目と思えないくらい、一緒にいて気疲れしない相手だ。
「お互い長男だと、大変だな」っと親父のように薫が言うものだから、思わず笑ってしまった。
朝食を食べ終え、共同で片付けしている時に、玄関のチャイムが鳴った。「日下か?」とインターフォンに出た薫の眉が僅かに上がる。
「誰?」
「弟だ」
「あ、ごめん。上げてもいいか?」
「ああ、構わない」
「悪い」
玄関の戸をあけると、眉尻が下がった伊吹が佇んでいた。
いつもとは違うその雰囲気。
「どうし、」
「織、身体大丈夫?」
俺が聞く前に、伊吹がすかさず話を転換する。
聞かないで。
言外にそれを感じ、俺は深く追及しない事にした。
「……ん、ありがとな。俺が寝た後、全部やってくれたんだろ?」
「本当は朝まで居たかったんだけど、寮則で12時には自室に戻らなければいけないんだって」
「そうだったのか」と言いながら、俺が視線で上がるように即すと、伊吹はそれに従いリビングに向かった。