平和な朝?2
シャワーを浴び、再びリビングに戻るとテーブルの上に、2人分の朝ご飯がセットしてあった。朝ご飯というより、ブレックファーストって感じだ。
キッチンにいる薫がこちらに気付くと、「おはよう」と僅かに頬が上がる。
「おはよう。これ全部薫が?」
トマトとベーコンのサラダに、スクランブルエッグ。テーブルの上は、純和風っぽい薫からは想像出来ない程洋風でセンスが良い。
「ああ。一応伊織の分も用意したんだが、食べるか?」
「勿論!」
「珈琲紅茶どっちが良い?」
「紅茶がいい」
「分かった。今トースト焼くから待っててくれ」
「ありがとう」
食堂に行くのが少し億劫だった為、薫の図らいは凄く嬉しい。俺は湯気をたてる朝食に、胸までも温かくなってくる。
薫がウェッジウッドのティーポットで、紅茶を持ってきてくれた。
「あれ?」
「どうした?」
「昨日までは急須しかなかったのに」
「使うだろうと思って、奥から出しておいた」
気配りが出来るという事も、ここまでいくと器量の良さというやつなのだろう。
「薫は良い婿になれそうだな」
「そうか?」
「うん、俺が女だったら普通に惚れる」
「なら、水無瀬家に嫁入りするか?」
普通は「嫁じゃないだろ」と笑い飛ばす所なのだろうが、俺は次の句を紡ぐのを躊躇った。