ちゃらんぽらん


 薫と別れ、部屋で制服に着替えてまたのんびりとテレビを見ていると、インターフォンがなった。

 日下でーす。と間延びした声に、玄関を開ける。


「わわわ、何この別嬪さん。俺、そんなん聞いてへんて。キタコレキタコレ」


 俺を見るなり、意味不明な用語を繰り広げるこの金髪の男が日下というらしい。耳には多数のピアスをつけていて、いかにもちゃらんぽらん。
 薫の紹介がなければ、関わらなかった人種かも知れない。


「関西弁?」

「せや。実家が和泉の方やねん。よろしゅーな、伊織ちゃん」


 関西弁でのマシンガントーク。いきなりのちゃんずけに、俺の顔は若干引きつっただろう。


「薫ちゃんから聞いてるかな? 俺、日下光平。光平って呼んだって」

「ホームルームって何時から始まるんだ?」

「え、そこスルーなん伊織ちゃん。一回、予行練習で呼ばんとあかんわ」

「日下」

「せや。って、なんで苗字やねん」

「薫がそうやって呼んでたから」


 日下が目に見えて、肩を落とす。薫ちゃんは薫で、俺は日下って、なんでやねん。とぶつぶつ言っているが、こういうキャラだと割り切って、気にしない事にした。


「職員室に寄れって、言われているんだが、今から間に合うか?」

「え、そうなん? そりゃ、ちょっと急がなあかんわー」


 ならさっさと連れて行ってくれ、と思ったが、やめた。


「ほら、のんびりせんと、行くで伊織ちゃん」


 突っ込みどころ満載なそれに、あえて突っ込まないと俺は心に誓った。


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