ブレックファスト



 食堂は寮の2階にあるらしい。本館にはカフェテラス。教室棟には売店と、簡易な食事スペースが設けてあるらしい。
 生徒達は自分の好きな所に行って、それぞれ食事をすませるそうだ。

 もちろんキッチンもあるから、自炊も出来るらしい。

 昔の俺は焼き飯とラーメン位は作れたが、小鳥遊家でそんなジャンクフードは滅多にお目に書かれない。俺が食べたい、って言った時だけ、シェフが作ってくれる。その為、16年間料理というものをした事が無かった。

 アメリカで、自炊っぽい事もした事あるが、パン買ってきて、レタスとトマトとチーズとハムを挟むだけのそれを料理と言うのかも謎だ。


「薫は自炊って出来るのか?」

「ああ。大抵は自炊で済ませるな。大したものは作れないが」


 ということは、今日は俺を案内する為に、食堂に誘ってくれたらしい。同室者の分かりにくいであろう優しさに、心が温まる。


「悪い」

「気にするな」


 そういって、食券の機械に薫は部屋のカードキーを入れた。メニューがカラーで表示されて、それを選択していく。

 薫はサンドイッチと珈琲のモーニングセットというやつを頼んでいた。値段は800円。喫茶店もそれぐらいの所が多いから、妥当な所だろう。


「普通はカードキーにお金がチャージ出来る仕組みになっている。クレジットカード連動式だと、自動チャージになっている。伊織のカードキーはクレジットカード連動だからチャージは必要ない」

「これここに入れて、普通に頼めばいいんだろ?」

「そうだ」


 先ほど薫がやっていたのと同じように操作し、モーニングセットにした。ドリンクが選択出来るらしいので、紅茶。

 グランマがイギリスとあってか、俺の家は紅茶を飲む機会の方が圧倒的に多い。


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