告白3
「俺が叔父だって事気にしてる?」
何となくそうであるような気がして聞いてみれば、コクンと薫の首が縦に動いた。
「今更ながら事実を実感したら、俺の態度は不適切なんじゃないかと思ったんだ」
真面目な顔をして困っている薫を見たら、少し面白かった。
「別に気にしないでいいよ。今は伊織だから。いつも通りの方が嬉しいし」
「そうか。ありがとう」
「むしろそれを言うのはこっちだって。………信じてくれてありがとう」
疑う事なく、いつも背中を押してくれる薫。無条件で味方であり、正しくなければ的確な指摘が入る。
それは雅人と良く似ていて、本当に雅人の子供なんだなと今更ながら実感した。
生きていたら叔父だったとお互い認識した上で会話をするのは、どこか気恥ずかしさがあった。
それは薫も同様なのか、いつもにはない緊張感が部屋には漂っていた。
「そう考えてみれば、伊織がバスケ上手い理由も納得出来るな」
「ほんと? でも全然やってないから、今は全然だよ」
「また本気で取り組む気はないのか?」
寛人の時にどんなに本気で取り組んでいたのか、薫は知っているのだろう。いつかの時に試合のビデオを観たと言っていたし、当然雅人からも何かしら聞いているはずだ。
バスケが好きだ。それはバスケ部にもう一度入ってから嫌というほど思い知った。
これまでなぜバスケが無くて生きて行けたのかわからないと思う程、バスケをしたくてたまらない時もある。
「そうだな……」
でも、総体優勝を夢見て頑張っていたのは過去の自分なのだ。
今はそれがはっきりと区別出来る。
「困らせるつもりは無いんだ。すまない。ただ……伊織のバスケに憧れてたから舞い上がった」
いつもの調子で淡々とそう言いながら、少し恥ずかしそうにいう薫に清々しく温かい気持ちが胸に灯った。