揃いの傷痕2


「また、やるのか?」


 喧嘩した前日が伊吹との初めての夜だった。あれからやっていなかったため、抵抗感と恐怖に身体が震えた。
 その問いに答えることなく、伊吹が覆い被さって唇を重ねてくる。


 強引なキスだった。


「んっ、っ」


 室内に水音が響き、吐息と共に飲み込まれて行く。深く口内を蹂躙してくる伊吹に翻弄されながら、何度も角度を変えて唇を奪われた。


「やめ、ろっ、…いぶきっ、」


 何度も振ってくるキスの嵐に、息も絶え絶えになりながら抗議を漏らせば、ぐっと太ももに固い欲望を押し付けられた。


「僕とするの、やなの?」


 責めるような口調だった。瞳に宿った苛立ちを感じれば、何も言い返せなくなる。それでも、この間のような不毛なことはもうしたくない。またお互い傷つくなら、兄弟という枠を越えたくないというのが本当だった。


「嫌だとかそういうんじゃなくて、」

「じゃあ良いでしょ」


 そう言って抗議をする間もなく、唇を重ねられ言葉を奪われる。顔を捩って唇を避けようとしても、両手で両耳をホールドされそれも叶わなくなる。


「ふぅ……んっ、や、離せ」

「やだ」


 抗議の声を上げる度に激しく唇を貪られる。


「いぶき!」


 強く伊吹の名を呼べばようやく伊吹が止まって、俺を見た。



←Top[0]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -