良くある愛憎劇?
中にあると分かった以上、確認せずにはいられず、怖いもの見たさでもう一度クローゼットを開けた。
学会時のラベルが貼ったDVDがクローゼット内の棚にずらりと並んでいて、アルバムもほぼ半年単位で並べられている。驚くべき事は、此処数ヶ月のアルバムだけ一ヶ月単位になっている事だ。
一番最近のアルバムを手に取ってみれば、この間撮った2ショット写真が先頭に、文化祭の写真が綺麗にアルバムに納められていた。2ショット以外にも、バスケをしている時の写真や、俺が薫と話しながら廊下を歩いている写真も載っている。
「これ、いつ撮ったんだ」
パラパラとめくって、棚に戻し、昔のアルバムを開けば、アメリカに居る時の写真が次々と出てきた。
ネガから買い抑えたという言葉はどうやら本物らしい。
しかし、ストーカーで変態だとは薄々思っていたが、まさかここまでだったとは。
「まさか刺されたりしないよな」
良くある愛憎劇でストーカーに刺されて殺される、なんて良くある昼ドラ展開にならなければ良いが。
内心冷や汗をかき、アルバムを見る事に夢中だった俺は背後の存在に気づかなかった。
「愛する伊織さんにそんな事する訳ないじゃないですか」
「じ、神っ!」
突然の登場に心臓が一瞬凍り付いた。