良くある愛憎劇?2



「すみません、仕事が長引いて」


 先程のような強い怒りは感じられなかった。かと言って、前のように友好的な感じでもなく、表情や反応の薄い神。
 おそらく、これが本来の神なんだろう。


「あ、俺もごめん。勝手に」


 人の部屋を物色していた事を思い出して、アルバムを元の位置に戻した。


「良いですよ、伊織さんなら。気がすむまで見てください」

「いや、遠慮しておく」

「そうですか」

「………」


 何となく空気が重かった。気まずさと後ろめたさに、何を言えば良いか分からなくなる。
 もう一度振り返って神の顔を見る勇気がなかった。

 右手でゆっくりクローゼットを閉めると、後ろから抱きすくめられた。


「っ、神」

「否定しないんですか」

「え?」

「斯波との関係です」

「……」


 何を言っても、言い訳に聞こえそうで、上手い言葉が見つからない。上手い言葉を探そうとしている時点で、俺は神を欺こうとしているのか。

 俺が言葉に詰まったままで居ると、お腹に回された手がギュッと力が入った事が分かった。


「寝たんですか? いつからですか?」


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