京都観光
「寛、大丈夫?」
金閣寺銀閣寺を巡って、清水寺の参道。
紅葉は散り始めてはいたが、シーズン的には多い観光客と、学生の修学旅行の団体。参道の石畳は、体力が落ち始めていた身体には辛いものがあった。
「ちょっと休憩していいか?」
「そうだね。この辺のお茶屋の何処かで一服しようか」
親父のその言葉に2家族は、適当なお茶屋に入った。
「銀閣って本当に銀箔じゃなかったんだな」
「そうだね。足利義満と義政の力の違いだろうね。でも、絶対に銀箔を貼りたかったとは思うよ」
わらび餅を食べながら、隆二が答えた。
「確かに! でも、昔の文化がここまで残ってるのは凄いな。東京にはないものばかりで、凄く新鮮だった」
「楽しんでくれたようで良かったわ」
そう言って嬉しそうに笑う梨絵さんと隆二の父親である隆文(たかふみ)さんは、京都で出会ったらしい。
たまたま撮影に来ていた梨絵さんに、隆文さんが一目惚れしたのが始まりだそうで、銀閣寺の哲学の道で、2人のエピソードを色々と教えて貰った。