バスケ部5
ボールをパスされる。
鷲田を含めた3人は文化祭の時よりも真剣に、こっちを見つめていた。
どうしたら良いんだ。
鬩ぎあう心は、立たされた状況に緩くなってしまいそうだった。
「おーい、始めていいぜ?」
鷲田がにやりと笑った。
やりたい。
バスケを、もう一度。
この気持ちを止められる術なんか、結局ない。
ボールを抱えて、手のひらで上履きの裏のホコリを取った。バッシュじゃないが、体育館履きっぽい上履きなら問題ない。
ゲームの構想を素早く練る。
自分の背を考えると、ゴール下のショートレンジよりは、ミドルレンジ。ミドルレンジよりは、ロングレンジにあたる3ポイントの方がいい。
しかし、3ポイントシュートは、練習もしてない素人が打ち込むにはマズいし、前回3ポイントで決めたからか、3人の立ち位置は割と手前。となると、一番素人が入れてもおかしくないシュート、レイアップで攻めるのが無難だ。
前を見据えて、唾を飲み込んだ。