バスケ部4
「あの時はあんまりにちっせーから油断しちゃってよ」
「お前それ言い訳だろー! 負け認めろって!」
「わっしーは前にやったから、俺とやろうよ!」
鷲田の言葉に、周りも乗ってくる。タオルやスポドリを、壁際に置き、それぞれ戻ってきた。
好奇の目。バスケが少しでも強いやつと試合をしたい。そういう目だった。
俺はこの目を良く知っていて、試合の前や後に、強い選手について語り合うときの目と一緒だった。
でも、2回目はまずい。
きっとこれだけの目があったら、マグレなんて言葉通用しない。
「や、でも……薫から待ってろって」
「大丈夫大丈夫! 俺からミナっちゃんに言っておくからさ。入部テストって事で」
「ちょ、ちょっと待て!」
手にバスケットボールを持たされ、ハーフラインまで背中を押される。周りで休憩していた部員は、じゃんけんで誰がディフェンスをするか決めているようだった。
「こんな事したら、監督に怒られませんか?」
「大丈夫だって!」
そう言いくるめられ、周りを見渡せば、鷲田を含めて3人。
ハーフコート上にスタンバイし終わっていた所だった。