バスケ部
第二体育館には、懐かしい光景と音が広がっていた。バスケットボールをつく音と、バッシュが鳴る音、かけ声。7面にも広がるコートは一面、バスケの練習で使われている。
「今日はバスケ部が第二を全部使える日なんだ。そうじゃない日は、レギュラー陣がコートを一面、他のメンバー全員で2〜3面使ったりする」
「全員で何人いるんだ?」
「85人だ。全国大会に行く事も多いから、県外から強い選手がうちの学校を受けたりする」
「そうなのか」
今日は7面も使えるからか、練習試合をしているコートもあった。後はシュート練、ドリブル、レイアップ、パス練、グループ単位で様々な練習が行われていた。
「マネを呼んでくるから少しここで待っていてくれ」
「ああ」
なんで来てしまったんだろう。
今更、後悔する。
音、空気感、光景、身体がうずうずしてたまらない気持ちになる。
こんな間近で、バスケを見て、やりたくならないなんてどうして思えたのか。
「あれ? お前もしかして」
声の主を振り返れば、一昨日の文化祭で俺をマークしていたやつだった。