突然の来訪者
「えっ、会長!?」
「嘘っ! なんでこんな所に」
歓声の上がる教室。気になってバックから教室の入り口を覗けば、噂の根源となる桐生の姿があって愕然とした。
まさか俺を見に来た?
そのifはかなり考えたくなかったが、変態の桐生ならやりそうな事だ。
表から帰ってきた日下が俺の方へ険相を変えて飛んできた。
「もしかして、伊織ちゃんに会いにきたんちゃうよね?」
日下が俺にそう耳打ちをする。
「そうじゃないと思いたい」
「でも、そうなんちゃうん?」
「……たぶん」
すっかり関西弁に戻った日下が腕を組んでうんうんと唸る。
「伊織ちゃん美人さんやから、俺らのファンクラブは全然大丈夫やったけど、むしろあいつらカモンな勢いで俺らで楽しんでたけど、生徒会クラスになると訳ちゃうで」
「落ち着け日下」
「無理や」
「というか、ファンクラブが楽しむってどういう事だ?」
「それは今はどうでもええわ」
学年主席が嘘のような、要点を得ない説明に俺は項垂れる。
「とりあえず、帰ってもらう事は出来へんの?」
「メールしてみる」