2度目の迷子
だいぶ歩いたはずなのに、いつもの教室棟が見えてこない事にハッとした。
相当ボーッと歩いていたらしく、気がついた時には見た事がない間取りが広がっている。
またこのパターンか。
嘆息して、鞄から学園マップを取り出した。地図があれば、迷わない自信はある。 すぐ横にあった第5会議室を目印に、マップの相当箇所を探し始めた。
しかし、数分後俺は愕然とする。
第1、第2、第3、第4会議室ときて、何故地図に第5会議室が載っていないのか。 何度も見返すが、何処にも第5会議室の文字はない。
再びの迷子。
その言葉と状況に大きく脱力する。 泣き面に蜂とはこの事か。 この場合は、引き返した方が妥当だと思うが、壁に寄りかかって地図を見ていたからか、自分がどっちから来たのかも曖昧になっている事に気がつく。
「……」
再び呆然。
帰ろうにもどちらから来たかわからなければ、話にならないと言うのに。
この前の様にタイミング良く桐生が現れてくれれば。
そんな事をふと考えて頭を振った。
メールすれば、道を教えてくれるかもしれない。 とりあえず、聞くだけ聞いてみよう。
そう結論付け、桐生に第5会議室から教室棟への行き方を教えて欲しいとの旨を書いたメールを送り、俺は再び歩き出した。