自嘲


 目を開けると、涙が耳の方に流れていく。


「最近、こんなのばっかりだな」


 隆二に会った時も、伊吹と喧嘩した今も、辛さに耐えきれなくなって、現実から目を背けて。


「ほんと、情けな……」


 袖口で涙を拭う。



 思えば思う程、生まれ変わっても何も改善されていない自分。むしろ、弱くなってる気さえある。



 そんな己に、自嘲が漏れる。


「何してるんだろ……」


 ベッドからのろのろと身体を起こして、時計を見れば10時半。
 転入3日目でこれなら、学園に入った意味などあるのだろうか。


 今から学園に行くのがなんとなく気が引けるが、このまま部屋に篭っていても、どんどん気が滅入ってくるきらいもある。




 重い腰をあげ、静かで誰もいない部屋を後にした。


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