懺悔 (side:ibuki)


(side:ibuki)


 冷たい玄関の床が、現実を突きつけるかのようだった。
 思い起こせば思い起こす程、後悔しか生まれなかった。


「ばかだ……」


 想像だけで織に当たって、傷つけた。織の傷ついた顔が脳裏に浮かび、再び涙がこぼれ落ちてくる。


「泣いたってどうにもならないのに」

 時間を戻すことなんか出来ないのに。


 分かっていても、織を傷つけたという事と、喧嘩したという事実がどうしようもなく悲しくて。自分が情けなくて、どうしようもなくなってくる。
 玄関先で膝を抱えて、泣いた。


 消えてしまいたい。そのまま、いなくなってしまいたい。


 胸がぎゅっと締め付けられたように痛い。でもきっと、織の痛みはこんなものじゃない。
 いつもは考えている事とか、分かるような、何となく繋がっているような気がするのに、今は何も分からなかった。




 どうしよう。どうしよう。どうしよう。どうしよう。




 その言葉が頭の中で永遠にループして、まともに答えを導きだせない。


 「ほんとばかだ……」


 もう一度呟き、膝に頭を埋めた。


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