13


抱き付くレイラの身体をマルコは何も言わずに軽く抱き締め返してやった。するとレイラの身体がビクンと小さく反応した――が、彼女は無言のままマルコの衣服を掴んでギュッと握り締めた。
少し眉を顰めたマルコは、そっとレイラの耳元に顔を寄せて声を掛けた。

「レイラ、何か話があるんなら別の部屋で聞くよい」
「ッ……、わ、私は……」
「何をそんなに怖がってんだ? 何に恐れてるんだよいレイラ」
「あ、ち、違うの……。ごめ…んなさい。わ、私……」

会場の隅にいるとは言え人目が届くこの場所で好いた男に抱き付くなんて――と、レイラは我を取り戻すと慌ててマルコから離れようとした。だが――。

ギュッ…――。

「!」

レイラの手はマルコにしっかりと握られており、レイラは驚いてマルコに目を向けた。
マルコの表情は真剣な面差しだが優しさと温もりのある青い瞳がレイラを真っ直ぐ見つめている。
レイラは今度こそ泣きそうになった。
マルコは度々見せるレイラのその哀願にも似た表情を見つめながら思考を回した。

何故、レイラに触れられた瞬間にチシやサコの映像が視界に映り込んだ? 
ひょっとしたらレイラは王牙鬼と何らかの関係があるのでは――?
既に接点があったとしたら――?

マルコはそう仮説を立ててみることにした。だがしかし、仮にそうだったとして新たな疑問が浮かぶ。

どうしてレイラなのか?

色々と話を聞きたいが、この調子では核心的な話は聞けそうにない。

レイラは顔を俯かせて黙り込んでしまい、マルコは溜息を吐いて広い会場へと視線を向けた。
煌びやかに着飾った者達が大勢いる。
立食パーティーが為か、テーブルの間を多くの人が行き交い、ガヤガヤと賑やかだった。
同じ会場にいるというのに、中央に集まる者達と一線を画して全く異なる空間にいるなとマルコは思った。
レイラの様子はやはり普通では無いように思えた。
どうにもこのような場にいられるような精神状態では無いようだ。

―― 移動……するかねい。

「レイラ」
「……」
「何に怯えているのか話してくれねェと何もできねェよい」
「……マルコ…様……」

身体を震わせるレイラの背中をトントンと軽く叩いて宥める。そしてレイラの顔を覗き込んで視線が交錯するとマルコは微笑を浮かべた。

「おれはお前を助けに来たんだ。だから大丈夫、もう怖くねェから安心しろよい」
「――!」

過去、幼かったレイラを助けた時に発した言葉を掛けると明らかにレイラの表情が変わった。それは人質になっていたレイラを助けた時、恐怖に駆られて泣いていた顔と同じだった。
マルコは何も言わずにレイラの腕を引いて自身の懐へと寄せると、今度は力強く抱き締めてやった。
レイラは目を丸くして驚いたが、途端に涙をボロボロと溢れさせて泣き出したのだった。

「…ふっ…うっ…マル…コ…さ…ん……」

マルコはレイラの背中に壁を当てさせ、自らは会場に背を向けてレイラを隠すようにした。
涙はボロボロと留まることを知らずに次から次へと零れ落ちて行く。
レイラはマルコの胸元の衣服をギュッと握り締めて縋りつくようにして泣いた。
マルコはレイラの気持ちが落ち着くまでこのまま待つことした。そしてこの時、マヒロならば気の利いた言葉を掛けてやれるのだろうなと思った。

そして、いつだったかに交わした会話を思い出した。

〜〜〜〜〜

「礼金とかいりませんからお断りしてくださいね?」
「よい? 何故だい?」
「そんなものが欲しくてやってるわけじゃないですし」
「けどよい、助けてもらった者からすれば礼は受け取って欲しいもんだろい?」
「命を取り留めた彼女と毎日笑って過ごしてもらえればそれが最大のお礼ですから」
「…………そうかい」

〜〜〜〜〜

誰かの為に対価を求めずに無欲で助ける。

自分の家族でも見知った相手でも無い赤の他人が助けを乞いに求めて来た時、マヒロは一切の迷い無くその者達を助けた。
彼らが本来助けを求めた相手は祖母である幻海。だがその祖母が死んだと知って動揺した彼らは助けようとしているマヒロに対してきつく当たった。それでもマヒロは意にも介さず真剣に、そして必死になって助けた。

今回もそうだ。

マヒロは一切の迷いも無く「助けましょう」と言った。

「これはお仕事ですよ、お仕事」

マヒロは笑って言っていたが違う。
仕事なんてもので気軽に人助け等できやしない。ましてや何の見返りも求めずに無欲で、そして命懸けで臨むのだ。

―― 今、それを思い出すってェことは、暗におれもマヒロと同様な気持ちでやれってェことかよい。

そう思った時、聞き慣れた年老いた女の声がマルコの脳裏に蘇った。

「他人を助けるのに理由が必要かい? マルコはゴチャゴチャ考え過ぎさね。これだから頭の良い『切れ者』は嫌いさね。素直に『自分がそうしたい』と思った気持ちに従えば良いんじゃないのかねェ? 海賊ってのは自由に気侭に我が道を行く連中だと思っていたけど、どうやらあたしの勘違いだったかねェ」

嫌味ったらしく言いながら吐き出される言葉は全て正論。

「考えることは大事かもしれない。けどね、それが過ぎると力の半分も使えやしないよ。自分の力を、能力を、まずは『信じてやる』ことから始めることだね。暴走する力の扱いを教えてやるのはそれからさね」

ふんっと鼻で笑って言い切ると暢気に茶を啜るは幻海師範だ。

―― あァ、そうだねい。……ったく、いつでもボロクソに言ってくれたよい。

馬鹿にしたように笑われた日には本気でブチ切れて攻撃したが返り討ちにあった日々を思い出す。過去の思い出ではあるが、思い出せば今でも腹が立つぐらいに酷かった。

しかし、それらの全てには意味があった。

それだけ印象付けて、それだけ心に刻み込んで、決して忘れるなということを、幻海の元から去った後に気付いたことだ。

――― 先にゴチャゴチャ考えるのはおれの悪い癖だ ――― 自分の力を、能力を信じて、自由に思うが儘に動く――― マルコはそう腹を括った。

「レイラ、もう怖くねェから泣くな」
「ッ……!」
「何があったのか話してくれるねい?」
「……はい……」

マルコがレイラの両頬に両手を添えて涙を拭ってやるとレイラは頬を赤らめて恥ずかしそうにしてまた顔を俯かせた。
マルコはレイラの後頭部に手を回してもう一度ギュッと抱き締め、レイラの背中を軽くポンポンと叩くと、レイラは深呼吸を繰り返し、自ら気を落ち着かせようと努め、そうして漸く平静を取り戻した。

レイラはマルコの手を取って繋ぐと会場を後にして自室へと向かった。

レイラの部屋に入ると扉が閉まる音がやけに大きく聴こえた。その瞬間にマルコは一瞬にしてこの場で何があったのかを察した。そして、何故レイラを通してチシとサコの記憶を見ることが出来たのかも理解した。
やはりマルコの仮説した通り、王牙鬼とレイラは既に接触していたからだ。だからレイラに触れられた瞬間に、未だ会ったことの無い王牙鬼の姿を見ることができたのだ。

「……実は私は」

マルコに背を向けたままレイラはどう話そうかと考えながら口を開いた。――実は人が見えないものが私には見えるんです――等と話したところで信じて貰えるのかどうか、不安で仕方が無いレイラの声はとても小さくか細い。

マルコは少しだけ微笑を浮かべるとレイラの話を聞かずして先に声を掛けた。

「見えるんだねい?」
「……え?」
「レイラは見えるんだろい?」
「! ど、どうして……?」

レイラは驚いてマルコに振り向いた。戸惑いを隠せないレイラにマルコは片眉を上げてコクリと頷くと話を続けた。

「お前ェが怖がってるのは、ひょっとして王牙鬼ってェ名の妖怪じゃねェのかい?」
「ッ!!」

マルコの問いにレイラは思わず両手で口元を押さえて身体を震わせた。
まだ話もしていないのに、何もかも知ってわかった上で話すかのように問い掛けるマルコに、レイラは戸惑いと畏怖を混在させた複雑な表情を浮かべて後退った。

―― や…だ……。どうして? どうしてわかるの?

「この部屋に侵入して来た王牙鬼と鉢合わせして狙いを付けられちまった……か」
「!」
「このことはゾイルに話したのかよい」
「……って、待って、教えて? 私はまだ話していないのにどうしてわかるの?」

怯えるように声を震わせるレイラに、マルコは溜息を吐きながら頭をガシガシと掻くと、レイラの側に歩み寄った。するとレイラはビクリと身体を強張らせて顔を俯かせた。そんなレイラの頬にマルコは手を添えて顔を上向かせ、視線を合わせると少しだけ苦笑を浮かべる。

「部屋に入った途端に見えちまった。ここで何があったのか、瞬時にわかっちまったんだよい」
「!!」
「怖がるなレイラ。おれは何も軽蔑しやしねェ。お前はあの時、どうにも出来なかったんだ。仕方が無ェよい」

マルコがそう言うとレイラはまた涙を零し始めた。

「わ、私、私はしたくなかった。あんな男とキスなんて……! 私っ、私は、あなたとしたかったのに、あなたが初めてだったらどれだけ良かったか……」

悔いる気持ちをレイラは力無く零した。最早自分が何を口走っているのかさえわかっていないようだ。
自らが好いて求める相手に、初めてのキスはあなたとしたかった等と、そんなことを口に出来るような女では無い。

「どうしてこんな、ッ、私が見えたりしなかったら、お父様だってこんな、こんなに苦しんだり……しなかっ、しなかったのに! わ、私のせい……私のせいで!!」

レイラはそう泣き叫んだ。

「レイラ、もう大丈夫だからよい。後はおれが引き受けるから、もう自分を責めるなよい」
「いや…、嫌ァ! 私、私! もう…やだ…嫌ァ!」
「レイラ!」

レイラは完全に我を忘れて取り乱していた。
心の傷が深いのは恐らくこの件だけのことでは無いようだ。恐らくは子供の頃の傷がぶり返して重なり表面化しているのだろう。

「ッ……」

マルコがレイラの肩に手を置いて宥めるものの埒が明かない。

―― 悪ィマヒロ。これはただの手段だからよい。

マルコは心内でマヒロに弁解する言葉を零すと、泣いて怯えるレイラの腕を掴んで強引に引っ張った。

「やあっ! やっ――んン!!」

―― あ……、キス……して……。

王牙鬼に無理矢理キスされた時と瞬間的に重なったが、目の前にあるのは自分が愛してやまない愛しい男の顔で、レイラは驚くと同時に全身から嘘のように力が抜け落ちるのを感じた。
まるで違った。
柔らかく温かく、そして優しい想いが込められた口付けに、レイラは目を細めると思わずうっとりとして瞼を閉じ、マルコからの口付けを甘んじて受けた。

―― マルコ…様…。

レイラは膝がガクリと折れそうになるのを必死に堪えた。重なり合う唇の甘美な感触に心を奪われて大人しくなる。
もう少しだけ――レイラがそう思い始める頃、唇は小さなリップ音を残して離れてしまい、レイラの胸中に寂さが去来した。

「落ち着いたかい?」
「……どうしてキスを……?」
「あー、何を言ってもレイラの耳に届きそうになかったからよい。……悪い」
「……どうして? 何故謝るの?」
「……」

既にフィリアで経験済みだった。自分に想いを馳せる者に対してすべき行為では無いことぐらいわかっていた。だが仕方が無かったのだ。
レイラの取り乱し様を見て簡単に落ち着かせる方法が思い浮かばず、ましてや自分を責める言葉を紡ぎ始めたのだから、強制的に止める為にマルコが咄嗟に思い付いた方法がコレしか無かったのだ。

少しバツの悪い表情を浮かべつつマルコは口を開いた。

「そんな精神状態のレイラに言うべきことじゃ無ェのはわかってんだが、先に言っておくよい」
「……え?」

マルコは大きく息を吐くと、戸惑うレイラの目を見つめて言葉を続けた。

「おれに好意を抱いて好いてくれているレイラの気持ちは素直に嬉しいと思ってる。だがおれはレイラのその気持ちに応えてはやれねェんだよい」
「ッ! そ、それは私がウィルシャナ領主の娘だから? マルコ様が海賊だから?」

レイラの言葉にマルコはかぶりを振った。レイラは眉をハの字にして悲しい表情を浮かべた。

―― まさか、好きな人が…いる…の……?

過る不安にレイラは思わず息を飲んだ。

「おれには決めた女がいるんだよい」
「!」
「だから応えてやれねェんだ」

レイラは目を見開き愕然とした。
手が、足が、ワナワナと震える。
心臓がドキドキと五月蠅い。
レイラは懸命に口を動かした。

「……誰? その人は……船に乗ってるの?」
「あァ、オヤジの娘でマヒロってェ名の女だよい」
「!」

マヒロという名を聞いたレイラは、いつだったか新しく刷新されて配られた手配書の中に、『センザキ・マヒロ』という名があったのを覚えていた。短期間に手配書が新たに刷新されて配られたことが珍しくて鮮明に記憶している。
写真も掲載されていて、決して他者を襲う様な悪い人にはとても思えなくて、どうして賞金首にされたのか不思議に思っていた。

まさかその人の名が出て来るとは予想だにしていなかったレイラは、震える手を胸に当ててギュッと衣服を握りながら顔を俯かせた。

「だからレイラ」
「好き……なの?」
「……」
「その人が好きなの?」

意を覚悟してレイラは問い掛けた。
ゆっくりと頭を上げてマルコを見上げると、マルコは柔和な笑みを零して頷いた。

「あァ、好きだよい。マヒロはおれにとっては無くてはならねェ大事な女だ。後にも先にもマヒロ以外の女を心の底から愛するなんてことはまず無いよい」
「!」
「お互いに必要としてんだ。おれはマヒロを守ってやりてェと思う一方で、逆にマヒロに守られることもあるぐらいでねい、マヒロは強ェ女なんだよい」
「あ……」

マルコが笑ってそう答えるとレイラは心底からそれを納得せざる得なくなった。
初めて見たのだ。

マルコが穏やかに笑みを浮かべて笑う顔を、誰かに想いを馳せて微笑む顔を――。

それに気付いたレイラはもう何も言えなくなってしまった。
マルコは気を遣い、レイラの頭をクシャリと撫でたが、レイラにはその優しさが酷く辛いものに感じた。

「とりあえずレイラに何があったかはわかった。次はゾイルだよい」
「……」
「レイラ、会場に戻れるかい?」

肩を落としていることからレイラが酷く落ち込んでいるのは見て明らかだが、気遣いがてらにマルコはそう声を掛けた。

「……あ、あの」
「ん?」
「話してみても構いませんか? その……マヒロさんと」
「!」
「話をしてみたいんです。どんな人なのか、あなたが想いを馳せる女性がどんな人なのか……。ダメ……ですか?」

レイラの問いにマルコは目を丸くしたが直ぐにクツリと微笑を零した。

「いや、逆だよい」
「え?」
「マヒロには手紙の件も含めて今回のことは全て話してあるんだよい。本当は最初からマヒロにレイラのことを任せるつもりでいたんだが……こうなっちまった」

軽く手を広げ、軽く肩を竦めながらマルコは笑った。

「そう…ですか……」
「じゃあ会場に戻ってマヒロを紹介するよい」

そう言ったマルコは踵を返して部屋の扉を開けようとドアノブに手を伸ばした。

「……マルコ様」
「何だい?」
「……キス」
「!」
「キスしてくれて、ありがとうございました」
「……あ、あァ」

マルコが振り向いた時、レイラは恥ずかしそうにしながら自らの手で唇に触れて礼を述べた。
その仕草も含めてマルコはレイラから咄嗟に視線を外し、少々気まずそうに返事をするので精一杯だった。

―― あー、これは多分マヒロに話すかもしれねェな。はァ、後が怖ェ。ちゃんとおれの話を聞いてくれるかどうかだが……無理そうだよい。

マルコは後々マヒロがネチネチと恨みがましく言って来ることを覚悟した。ついでに霊気で固めた拳が飛んでくることにも覚悟した――が、殴られていないのに「痛ェ……」と零して顔を顰めた。

―― マヒロの攻撃は痛ェし効くからなァ……。

何だか先が思いやられて気が重くなるマルコは少しだけ項垂れつつ、レイラと共にパーティー会場へと戻った。そして、レイラとマヒロを合わせる以前に、マルコは更に精神的な疲労を蓄積させることとなった。

イゾウと二コラ、ハルタとスージー、エースとアビー。

会場から外れた場所で料理と酒を持ち寄って小さな宴会状態で気楽に過ごしている様がそこにあった。

「よお〜マルコ! 一緒に飲もうぜ!」
「あァ止めときなエース。マルコは仕事中の真っ最中さね」
「そうそう、マルコは忙しいからダメだよ」
「ん? そっか、そりゃ仕方が無ェな!」
「うふふ、あんまり言ったら可哀想ですよ?」
「そうですよ〜。マルコ隊長は人一倍責任感が強いから仕事を済ませないと気楽にできないんですから」
「マルコ隊長、お仕事頑張ってー!」

若干赤ら顔で楽し気に笑う彼らにマルコはヒクリと頬を引き攣らせた。

―― おい、お前ェらも一応仕事中だろうがよい。

「はい、イゾウさん」
「あァ悪い。おれからも二コラに注いでやるよ」
「うふふ、ありがとうございます」
「これ美味しいですよハルタ隊長! はい、あーん」
「あーん……あ、本当に美味いよスージー」
「ねェ、ねェ、今度はこれ食べてみようよ!」
「おう、あ、アビー、酒がもう無くなっちまったぜ」
「あ、本当だ。じゃあ貰って来るね」
「だったらおれも一緒に行ってやるよ」
「やった! じゃあ一緒に行こ〜!」

各々カップル同士、何故だか凄く良い雰囲気になっている。
まるで恋人同士のように仲が良いのだ。

唖然とするマルコは視線を彼らから外して会場内へと向けた。すると直ぐにサッチの姿を捉えることができた。
何故なら実に羨ましそうにイゾウ達を見つめているからだ。若干恨みがましいその表情と、そこから放たれる殺気染みたものは、付き合いの古いマルコだからこそ直ぐに感知できたと言える。そしてその隣でマヒロは呆れたような表情を浮かべ、暇そうにして椅子に座っていた。

―― ……オヤジ達は?

そう言えばとマルコは白ひげの姿を探した。だが何故か見当たらない――と思ったら、会場の奥の方で一段と浮いた白ひげ達の姿を捉えた。
恐らくロワナ王国の国王と貴族だろうと思われる彼らに囲まれた白ひげは、楽し気に宴会モードで酒を飲んでいる。そしてその傍らでビスタもジョズも酒を進められて飲んでいた。

―― ……。

実質、何か問題が生じた時、真面に動けるのはマルコとマヒロとサッチの三人だけなのだとマルコは思った。

―― いや、確かに見えない敵の担当はおれだけどよい。

とりあえず、あのサッチが自分の欲に負けずにマヒロの隣に付いていることだけが奇跡で殊勝ものだと、そう思うことにした。

キ ス

〆栞
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