* 柳 *
「いいから行けって!頼むからマジで!」
丸井にそう言われて、仕方なく用もない教室へ向かうことにした。赤也がたのしそうにしているのを見る限り、なにか用意でもするのだろう。それなら話を飲まないわけにもいくまい。
そう思って部室を出ようとしたとき、
「今日はこのまま直帰だよ」
そう言いながら荷物を渡された。
「…どう言うことだ」
「そのままの意味だよ。まさか誕生日を迎えたついでにボケも始まった?」
「精市、真面目に答えろ」
「やだなぁ蓮二、俺は大真面目だよ」
最近妙に苛立つことが多いのは自覚している。そしてその原因もわかっている。
「ほら、早く行ってあげて」
それが意味するところは推察できかねる。なぜなら推察するほどの材料がないからだ。
いまいち腑に落ちないまま、俺は教室へ向かった。
追記