矢部はその指を舐める。何だか甘くてとろみがついている。はちみつに少し似た味のそれをごくんと飲んでしまう。一分ほど経った頃だろうか、急に身体が熱くなってきて心臓がどくどくと脈打つ。

「なんだ……! てめぇ、何飲ませたんだよ!」
「ちんちんが元気になる液体、いわゆる媚薬だ! これで連続射精もお茶の子さいさい、ドピュドピュ!」

 変態は口元しか見えないからどんな表情をしているかが矢部からは分からない。しかし、その口調と上がった口角から笑っているのだと推測できた。矢部は何だか無性に腹が立ってきた。声を荒げてつかみかかろうとした時……性器が痛いほどに張り詰めて、ギンギンに勃起しだした。

「フーム、良いちんぽだな! 逞しくて雄みが強いギン勃ち男性器! 形といい、ハリといい、大きさといい、素晴らしくおいしそう!」
「く、くそっ……野菜の品評みたいにいいやがって……!」

 媚薬の効果によって、矢部はむらむらとした気分になってきた。身体も火照って、性器が勇ましく天を仰いで主張している。
 たまらなくなって矢部は変態を押し倒そうとしたら、変態自ら四つん這いになって大きなお尻を見せつけてくる。

「こんなワイルドちんぽをほったらかしてたら、寝取られ被害が絶えないだろうな、これはもう仕方がない……ずっぽし粘膜ご奉仕してやるから、好き放題おパコりなさ……あああああっ!」

 最後まで言い切る前に、矢部は性器をつっこんだ。ぬぽぽぽぽ、ととろけた襞に性器が飲み込まれていく。うねる。
 それは幾多の男女を食べ散らかしてきた矢部でも経験したことのない、不思議なアナルだった。ぬるぬるの粘膜が絡みついてきてまるで膣。しかし、締めつけは括約筋のそれ。体内に三つの膨らみがあって、それが搾り取るようにして蠢く。まるで子宮口のようだった。
 まず間違いなく、明らかに人体の構造上存在し得ないもの。まるで人為的に作ったオナホール。そもそも誘われたからとはいえ、正体不明の人間となぜ性行為をしているのか。矢部は気持ちが良いのに、だんだんと怖くなってきた。

「な、なんだよてめぇ……バケモンみてぇな身体しやがって……」
「おっ、おっ、おぉん! ああん、ひどぉい……まぁ、人間じゃないけどぉ……でも、気持ち良ければそれでいいだろぉおおおお!?」
「はぁ? 人間じゃない……?」
「あんっ、もっとぉお! ズッポズッポほじりまくって!」

 さらりととんでもないことを言われた。しかし、媚薬による発情と人外のもたらす快楽で矢部の頭はかすむ。
 後ろから変態の細い腰をつかんで、ばっちゅんばっちゅんと打ちつける。

「ンおっ、おっほ、おぉん! ふっとぉ……ああぁん、おいしい! おんっ、正義の味方なのに、チン媚びしちゃうぅうう!」

 卑猥な台詞。精液をおねだりするいやらしい襞。可愛い声。細い腰を前後に揺らしながら行われる、愛情のないただの性処理。見えない顔。そのすべてに矢部は不安を覚えながらも……欲望には勝てなかった。
 とろけて謎の液体を垂れ流す粘膜で、ごしごしと性器をシゴきながら……盛大に精液をブチ撒ける。

「んおっ、おっ、おおおん! 精子のお恵みきたああああ!」
 
 ビューっ、ブビュルルル、ブリュ、と汚い音を立てて、精液が注がれる。矢部は悔しいのに気持ちがいい。最後の一滴まで残さず搾り取られる。たっぷりと精液を吐き出し、奥の奥まで乱暴に塗り込む。それから抜いた。精液が、あとからあとから流れ出し、床に汚い水たまりを作る。

「くっそ、くそっ……! すっげ、こいつの穴まじやべぇ……!」
「おっほぉお! あああん、まだでてりゅっ、もったいなぁい……お射精後のイキチンにお掃除させてくらしゃいぃ!」

 何も言ってないのに自主的にお掃除フェラをされた。じゅっぽじゅっぽぐっぽぐっぽ、ちゅぱちゅぱ。舐めまわされて、最後の最後まで吸われて搾り取られる。
 性欲旺盛な矢部もさすがにぞっとした。これじゃまるで淫魔か何かだ。人間ではない存在。正体不明の明らかに異質な何か。しかし媚薬で熱くなってしまい理性を失っている身体。何もかもが怖かった。
 こいつは一体何なんだろう?




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