カヲルくん!とかいった口が渇かないのに追記には島田さん。ずいぶん前のメモ発見したのではってみる。
最近ヒロインの氏名はぜんぶ「なまえ」で書いているのですが、あらためて人の作品を読むときに、デフォルト名がないとどうしたもんかと悩みます。
自分ちの子くらいはきっちり名前をつけておこう。覚え書き
忍と歴史系…鈴村由宇(すずむらゆう)
エヴァとファンタジー系…敷島キリエ (しきしまきりえ)、キリエ・シキシマ
現代系…佐倉ひより
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「島田さん」
ひょろながい背中にむかって呼び掛けると、半病人のような顔がむけられた。よくみれば片手は胃のあたりを抑えている。お変わりないようで何より。
「お久しぶりです、お仕事のほうはひと段落されたんですか」
「ええまあ、どうにか」
「ちゃんと食べてます?物凄いやつれてますよ」
「はは…よく言われます」
まあ心配するのは何もあたしだけの特権じゃないけれど。
問題はそれだけ言われてんのに二週間も買い物行かないような生活をすることだと、この人は気が付いているんだろうか。
「佐倉さん、すみません、ちょっと」
「あ、はい!今行きます」
棚の間から新人に手を合わせられ、島田さんとのやりとりは終了。
失礼しますと頭を下げれば、佐倉さんもおつかれさま、と微笑んでくれる。
スーパーの店員と常連客という間柄において、島田さんはとてもやさしい。
島田さんがテレビに出ているのを見たのは、風邪で休んだ日のことだ。
午前中に処方された解熱剤と抗生剤、それに胃薬を並べて飲んで。なんとなくチャンネルをいじっていたら見知った顔が映って驚いた。しかも主役だなんて。
ぼんやり画面を眺めながら現実と剥離する感覚を味わって、それから布団にくるまって眠った。
翌日の新聞で島田さんが「勝った」ことを確認し、仕事帰りに専門誌を一冊買って帰った。内容は正直ちんぷんかんぷんだったが、島田さんが「すごいひと」だということはよくよく理解できた。
ネットでルールなんか眺めてみてもさっぱり理解はできないし。ボードゲームはオセロか人生ゲームで、どっちも弱いあたしじゃ話もあわないんだろうなあと考えたら、なんだかちょっと目から滴が出てきちゃいそうだった。
将棋。
その夜いなかのじいちゃんに電話してみたら、うちにあるのは碁盤だと失笑されてさらにへこんだ。