『何々?憧れって。俺、憧れられてんの?』と嬉しそうな顔をして御幸は私に聞いてくる。


「そうそう。帰ってきて早々御幸の話のマシンガンだったよ」
「おいっ!姉貴!」
「ははっ、そりゃ嬉しいな」


それが御幸の視界にも止まったのか、少し笑いを抑えきれなくなっている御幸。
御幸も満更でもなさそうな顔をしていたし、竜也も嬉しそうな顔をした。

憧れの人からこうして言われたら、そりゃ嬉しいよね。
そう思いながら、竜也はちゃっかり御幸に『今度俺に野球教えてください!』と言っている。
御幸も『教えるっつーか、よし、キャッチボールしような!』と言っている。
『マジっすか!』と本気で喜ぶ竜也の姿を見て、私は御幸に妬いてきた。

私にはあんな顔向けないくせに。
どうして御幸には向けるわけ?
なんて。
すると、


「竜也。そろそろ、家に入るわよ」


とお母さんが言う。
すると、察したのか、


「御幸さん」
「ん?」
「こんなどうしようもない自由人気ままな姉貴だけど、よろしくお願いします」


と。
そして、『約束楽しみに待ってますから!』と言って、私に『行ってら!』と言ってくれた。

ああ、もう。
本当に良い弟を持ったよ。
そう思いながら、私は御幸の車に乗り込む。

そして家を後にした。




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