「そういうのはね。自分がチャレンジして、成功してるから言えることなんだよ」





そう考えて見たら、御幸たちは凄い。
なるって決めたらそれに向かって努力を怠らずに、まっすぐに走っているんだから。
足を決して止めることはしなかった。
立ち止まってる時間さえも勿体無いと言わんばかりに。

私にはどう頑張ってもできない。
やろうともしないもの。

だって、失敗することが怖いから。

それを曲げることはできない。
もしも曲げてしまえば、あの頃の気持ちがもう一度蘇ってしまう。
それが怖くて仕方がないんだ。
もしも彼から、

『もうお前とは付き合えない』

なんて。
言われてしまったら。
そんな日が、来ると思ったら。
私は怖くて怖気づいてしまう。

きっと、立ち直れない。



「なあ、綾華」
「何、」
「そう思うってことはよ」


『つまり、お前はまだ御幸のことが好きなんだろ?』

付きつけられた、現実。
見たくなかった、現実。
今まで背いてきた真実を、彼にこうもあっさりと突きつけられて。

私は、先ほどの言葉を思い出す。
『1%たりともないのかよ』
それにどうだろうねと答えたのは、そんなんじゃ、足りないぐらいまだ。
まだ、好きなんだ。
私なりに、本気で好きで、愛してたって、思えるんだからそんな簡単に諦められるわけがないじゃない。
簡単に、この気持ちの中から、消去できるはずがないじゃない。

コドモだったけど、本気で好きだったんだ。
その気持ちが、留学したからって簡単に消えるだなんて思ってはなかった。

けど。
けどさ。
留学から帰ってきてすぐに再会して。
そしてこんなにも早く、この気持ちが溢れ出るなんて、思いもしなかったもの。
認めたく、なかったんだもの。




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