「どこ行くんだよ」
「え?」


私の腕を掴む御幸。

何で…何でよ。
私のこと、嫌なんじゃないの?うっとおしいんじゃないの?
何で、私を引きとめるのよ。

私は御幸を睨みつける。


「綾華が言い出したんだろ?俺ら誰もまともに英語話せねえし、最後まで面倒見るのが筋だろ」


御幸のその言葉に、悔しいけど、確かにと思い直した私は、その彼に近寄り、『I attend you to the high school, too.(私も高校まで付き添いますね)』と言い、母校である青道高校への道のりを歩いていく。


「What your name?」

「My name is AyakaKirisawa.Nice to meet you!」

「It is the wonderful name!My name is Jack.Nice to meet you too!(素敵な名前だね!僕の名前はジャックだ。よろしく)」


『何の用事があるの?』と聞けば、ジャックは、『ちょっとね、野暮用さ』とはぐらかした。
まあ、ついさっきまで見ず知らずの他人だったんだから、すぐにすぐ言えないよね。
そう思い直した私は、他の話題を振る。


「What country are you from?(どこの国出身なんですか?)」

「I'm from the United States.(アメリカさ)」

「If it was the United States, I was in New York until I yesterday.
(アメリカなら、昨日まで私ニューヨークにいたんですよ!)」

「What a coincidence! New York is my hometown.
(奇遇だね。ニューヨークは僕の地元さ)」

「Great!(すごいですね!)」


ニューヨーク出身とか言ってみたいわ。どんどん膨れ上がる話に、私も楽しんで話せた。やっぱりまだ、英語のほうが話しやすいな。

ふと、後ろを振り返ると、…目が合ってしまった。
不思議だ。
…その視線を、逸らせなかった。

何で。
何で、―――そんな表情で私を見ているの。




prev next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -