そして無言で移動するバス。
居心地が悪すぎる。
きっと後輩たちを見に行くところだったのだろう。
申し訳なく思いながらも、最後まで乗らせて頂いた。
青道高校付近のバス停に到着し、皆降りて行く。
御幸が降り、後ろの子たちに『先に降りて下さい』と言い、行ってもらい、私も続いて降りる。
降りる際、運転手に、
「突然乗り込んでしまってすみませんでした」
と謝れば、『全然いいですよ。訳ありそうだったですし』とにこやかに笑って言って下さって。
『料金払います』と言えば、いいですよとは断られたが、私がどうしてもと言ったので渋々受け取ってくれた。
そしてバスガイドさんにも一言お詫びを告げ、荷物を受け取る。
そしてさらに、確か。
後方を歩くあの人が三年のキャプテンだった人。
その人に近寄り、私に気付くと『何だ?』と声を掛けられる。
「皆さんでこうして母校に向かわれる途中に、関係ない私が突然入りこんでしまって、しかも空気を悪くしてしまってすみませんでした」
と私は頭を下げた。
顔を上げると、驚いた顔がいくつもあって。
「何だぁ?!礼儀のある奴じゃねえか!」
「!」
「伊佐敷吠えるな。…まあ、何があったかは知らないが、頑張れよ」
「…ありがとうございます。皆さんにもお詫びをお伝えください」
私はそう言ってその場を去ろうとした。
すると、
「Here's where!?」
そんな声が聞こえて。
御幸たちが対応しようとしているが、多分あまり英語が得意な人がいないのだろう。
沢村くんに至っては『パードン!パードン!』なんて言っている。
Pardonと言いたいのだろうが。
私も放っておけばよかったのに、放っておけなくて、そちらの方に向かう。
「Can I help you ?(どうかしましたか?)」
私がその人に向けて言えば、周りの人たちは驚いたような面持で私を見る。
待ってよ、こんなの、中学英語だよ?
何でこんな顔を向けられなきゃいけないの。
…ていうか、今日多いな、この顔を向けられるの。
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