2 また朝がきた。
真っ赤な目を擦りながらむくりと体を起こす。
…そろそろ授業にもでなきゃなあ。
「先輩」
「レギュラス」
さあっとカーテンを開けて、僕を覗いた。
眉は下がり口は何か言いたそうにぼそぼそと動いている。
「…今日は、何曜日だ」
ズキズキと痛む頭を手で押さえ、よろよろと立ち上がる。
レギュラスは吃驚したようで、目を見開きこちらを凝視していた。
「何曜日だと聞いている。」
なかなか答えないので痺れを切らせてもう一度聞く。
「か、火曜日です…」
火曜か…
魔法薬がある日だ。
気まずい。
また休もうか、なんて考えていると
「授業、出る気になったんですね!よかった!!じゃあ早く着替えちゃいましょう。朝食とりにいきましょうよ」
と一人盛り上がる奴が居たので休む、とも言いづらくなってしまった。
久しぶりに部屋の外に出た。
何も変わっていない。
その現実に、少し安心し、少し残念だった。
レギュラスに背中を押され大広間へと歩いていく。
その道々、レギュラスがひっきりなしに話しかけてきたが、内容は全く頭に入っていなかった。
大広間で食事をとっていると、グリフィンドールのルーピンと目があった。
僕が見ていたわけではない。
僕はリリーを見ていた。
視線を外したらルーピンと目が合った。
そのときふっと安心したように微笑んだのは気のせいだろう。
「先輩?」
「…何でもない。」
そう。
何でもない。
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