言霊【宮←牧】
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宮田出てこないし短い。


「す、き。」

ぽつんと一人つぶやいてみる。
八尾さんには、反応がないから聞こえていたのか聞こえていなかったのかわからない。

「すき、」

もう一度つぶやいてみる。
その二文字は空気に溶けていった。

日本では昔から、言葉には言霊という霊力がつくと言われている。
人が言葉を発したそのときから、その言葉は霊力を宿し「存在」するのだと。
だから迂闊に物を言えない、言わない習慣が日本人にはついたのだろう。
ここでの霊力とは、自身の魂の欠片、つまり生き霊の力を指すらしい。
もし自分が「すき」に宿っているのだとしたら、それが誰宛てにつぶやかれたものなのかわかるだろう。

だから、どうか届けて。

あの人に。

「好き」

もう一度つぶやき、窓を開けた。



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