2011/09/23 11:47
▽いじめたくなるタイプ(SS/ぬら孫・トサカ丸)


※デフォ名:名無
※夢主白狼天狗




縁側に座り小妖怪がじゃれあっているのを見ている姿をみつけて俺は声をかけた。

「ほーら、名無」

俺の声に視線を向けた名無は俺が投げたそれをちゃんとキャッチする。しかし、それを見た瞬間顔をひきつらせた。

「トサカ丸さま!私は犬ではありません!」
俺が投げたそれ、ビーフジャーキー、一応人間用を握り名無は声を荒げる。そして立ち上がり俺にきつい視線をよこした。出来る限り眉根に皺を寄せてる顔がかわいらしい。

「はははっ、ほらもう一個」
ぽいっともう一個投げてやるとちょっと高く跳んだが律儀にそれもちゃんとキャッチした。おお、さすが反射がいい。

「ですから、トサカ丸さま!」
「ほら、ちゃんともってこいよ」

ちょいちょいと手招きをすると大人しくそれをもってやってくる名無。なんだかんだいってもやっぱりこいつは従順だった。それが白狼天狗としての意識からなのか名無自身の性格なのかはまだ俺には分からない。もう長いこと一緒にいるつもりだけど俺より長く生きている名無のことはわからないことも多い。


「ぐっ…」
「よくできました」
ぽんぽんと頭を撫でるとちょっと不機嫌そうに視線を逸らす。頭を撫でられることは嫌いじゃないらしいがやっぱり年下にこういう扱いをされるのは気に食わないらしい。一文字に結んだ口元が名無の心情を現していた。

「トサカ丸さま、私は犬じゃなくて狼です。そして天狗です」
「んー、でもこういうの好きだろ」

頭の上にあった手を顎の下に移動させ撫でると怒っているのかふるふると震えつつも、気持ちいいのを我慢しているのがばればれで俺は思わず笑う。やっぱり犬じゃんか。よくみれば尻尾もゆらゆらと揺れていて見ているのがホントに面白い。自分の気持ちにももっと従順になればいいのに、と思う。

「ト、サカ、まる…ッさま!」
ちょっと恥ずかしがりながらぎろり、と睨まれた視線に悪戯心がまた疼いた。

「名無はいつも頑張ってるからなー。たまには褒めてやらないとだろ」
耳元に唇を寄せて呟けば水蜜は大げさに肩を跳ねさせる。もうひと押しくらい、と思ったところで後ろに禍々しいものを感じて勢いよく振り返った。

「トサカ丸…なにをしているんだ」
「げ、あ、兄貴…」

これでもかというくらい眉間に皺を寄せて腕を組む兄貴の視線が俺に突き刺さる。そっと名無から手を離し後ずさるが兄貴の視線は俺を逃がしてくれないことを語っていた。

「な、なんだよ…。きょ、今日のパトロールの報告はもう終わってるだろ」
「そうだな。だが遊んでいていいなんていってないぞ」
「なっ!休憩じゃないなんて聞いてねーよそんなの!」

いつもは報告終わったら休憩じゃねぇか!そう言いはするものの錫杖を構えはじめた兄貴はまともな返事をしてくれそうになかったので俺はぐるりと背を向ける。その時にしっかりと名無の手を掴んで。まだビーフジャーキーもってたのか。

「と、トサカ丸さま!?」
「こら、まてトサカ丸!」

飛べない名無を抱えて空まで上がるが勿論兄貴もついてくる。兄貴こそサボってんじゃねーよ!耳元で名無がなんかいっているが今は無視して翼をはためかせた。知り尽くした浮世絵町の空に障害物なんてなかったけれどそれは兄貴も同じでなかなか決着はつきそうにない。でもその分名無と遊んでられるってことでまあよしとしよう。





トサカ丸が思った以上にSだった。






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