2011/07/10 20:07
▽初めての護衛2(SS/ぬら孫・昼夜若)



※デフォ名:名無
これの続き。



若が授業中の時はお傍にいられない。クラスに所属している訳でもないから定まった場所がない。しかし学校をうろうろしていようものなら教師に不審がられてしまう。だが、若のお傍を離れるわけにもいかない。こんな暑い中外に出るのはいやだなあ…。青は何してるんだろう。
そういえば今日は若菜さまが私にもお弁当を作ってくださった。いつもは私が若菜さまと若や雪女、青田坊のお弁当を作る方だったから楽しみだ。お昼は若とご一緒してもよろしいだろうか。しかしご学友との邪魔をしてしまうかもしれない…。むむむん…

そんなことを考えて、人目につかぬよう移動しているといつの間にか午前の授業が終わった。教室からわらわらと人が出てくる。ま、まずは若にお会いして、もし邪魔になるようなら青と一緒に少し離れたところで食べよう!

「リ、リクオくん…」
若の教室を覗くとちょうど若はお弁当を持ち外に出てくるところだった。そのとなりには雪女からよく聞くご学友が一緒におられる。そういえば前に遊びにいらした方々だ。あの時は見つからないようにあちこち走りまわって大変だったなあ…。はっ!や、やはり私は一緒だと邪魔だろうか…。

「あ、名無。よかった。いないから呼びに行こうかと思ったんだよ」
「へっ、え…」
私に用があったのだろうか。若のお手を煩わせてしまった…!せっかくの護衛だというのに朝から失敗ばかりだ。しっかりしろ私!眉間に皺を寄せる私の手を若の手が掴む。手から若へと視線を移すと若は少し困ったように笑っていた。

「そんな難しい顔をしないで、名無」
「いえ、リクオ、くん!なんなりとお申し付けください!」
「いい加減慣れなよ…。一緒にご飯食べるでしょ?」
「は、はい!あ、でもご学友との邪魔じゃないでしょうか…」
「一人増えてもなんてことないよ。つららだって一緒に食べてるんだし」
「しかし雪女は一応この学校に…」
「いいから、いいから!」

先に歩いて行ってしまったご学友に追いつくよう若は私の背中を押す。なんだかんだといいつつ、私の内心は凄く嬉しい。若はなんでこんなにも優しいのだろう。なんでこんなにも私の心を見透かしてしまうのだろう。

「若、ありがとうございます…」

私の小さな呟きも若は拾ったのかくすくすと笑う。今日は暑い。胸がどきどきと高鳴ったのも屋上のコンクリートに反射した熱が熱かったからだ。私は若をお守りする身。しっかりしなくては。暑くないよう少しでも日陰を多く作ろうとしたのに流されて逆に日陰に持ってこられてしまった。気合いが足りてないぞ名無!



「ただいまー」
あれからも結局若のお世話になりながら学校での生活を過ごし本家へと戻ってきた。おかえりなさい、と迎えてくれる若菜さま。その後ろからぱたぱたと走る音が聞こえてくる。

「おかえりなさいませ!」
「ただいま、体調はどう?つらら」
「はい、夕刻になり気温も下がってきましたしもうばっちりです!」
「それならよかった」

片手にはまだ氷を抱えているが朝とは打って変わって元気になった雪女の姿に私も一安心する。夕餉の準備の為一度部屋に戻って着替えようとすると後ろから軽い衝撃を受けた。
振り返ってみると先程まで若とお話していた雪女と目が合う。ぎゅっと腰に回った腕はひんやりと冷たい。

「雪女…?」
「おかりなさい、名無。暑かったでしょ?」
「うん、ただいま。雪女は冷たくて気持ちいい」
「ふふっ!今日私の代わりに頑張ってくれた名無に特別よ」

ぐりぐりと背中に押し付けられる雪女の頭がくすぐったくて身をよじる。くすぐったいよ、雪女。と笑うが雪女は私を離してはくれず余計に私を抱きしめた。って、氷!溶けて下に垂れてる!




夜、お風呂を頂いて自分の部屋に戻ろうとすると小妖怪に声をかけられる。なんでも、若がよんでいるらしい。うっ、今日、ろくに護衛もできず若の手を煩わせてばっかりだったからお叱りを受けるのだろうか。若はお優しい方だからそんなことはないと思うのだけれど、今は夜の若様。叱るとまではいかずとも多少の覚悟はしておいた方がいいかしら…。

「若、およびでしょうか」
障子の前で膝を折ると、入れ、とお返事を頂く。音を立てぬように障子をあけ、下げた頭を上げると夜の若と目があった。銀色の髪が眩しい。

「…あぁ、名無」
静かに手招きする若の傍へと引き寄せられるように足を進める。若の前で膝を折ろうとするともっと、と若が呼ぶ。こ、これ以上近くに行くと体がぶつかってしまうというのに…!

「いいからもっとこっちにこい。名無」
「わ、若…、酔っていらっしゃるのですか…?」
「…いや」
なかなか歩を進めない私の腕を若はぐいっとひっぱり無理矢理私との距離を詰めた。そして不躾なことに若の上に倒れてしまう。あわわ、とすぐに立ちあがろうとするが体が動かなかった。ぐるりと回された腕が、熱い。

「わ、若!どういうことですか!」
「いいだろ。別に」
「よくありません!破廉恥です!それにこういうことはもっと美しい女と、いえ、若にはまだ早…ひゃ!」
「まだ早い、だって?生意気なこというじゃねぇか」
「はっ、すみません。過ぎた口を…というより若、先にこの腕をはなしてくださ…!」

ぐいっと足まで持ち上げられ若の足の間にすっぽりと納まるよう体をきっちりと整えられる。抜け出そうとするが体に回された腕と下手に暴れれば若を蹴飛ばしてしまいそうで力を込められない。そうこうしているうちに若の指が私の方へとのびてきて唇をなぞられた。

「名無、口には気をつけろよ」
「ッ――!」

ただでさえ若は人を、否妖怪を惹きつけるというのにこの動作はずるい。心の蔵がどきどきと音を立てて思考がうまく働いてくれなかった。

「わ、若、申し訳ありません。ですが、こんな近くにいる必要は―」
「なんだよ、名無。昼はあんな一生懸命に俺のそばで護衛をしててくれたのに夜は嫌だってことか?」
「いえ、そんなことはありません!」

私はいつだって、若をお守りいたします!たとえ、学校に行ってらっしゃる時でも、私がお家でお留守番の時でも、町が夜の蚊帳に包まれても私はいつだって若に危機が迫れば若を守り、お仕えいたします!
そう伝えると若は口角をあげて、腕の力を強くする。ってわあわわああ!近い!近いです若!

「じゃあ、守ってくれよ名無。今にも倒れそうなんだ」
「へっ、わ、若?一体何が若を苦しめているのですか!?すぐにでもこの名無が…!」
「熱に、浮かされた。名無にのぼせちまってるんだ」
「は…?」
自分の首元にうずまる若の息が熱い。顔を掠める若の髪がくすぐったい。若に触れる体の全てが熱い。

「わ、若…私も熱いです…」

若の胸を軽く押し返すが力を込められず、まるですがるような仕草になってしまった。それをちらりと見た若は言葉を紡ぐ。首に当たる若の息が私の胸の奥をかき乱した。

「…だから、離せってか?つららの時は何も言わなかったじゃねぇか」
「わ、若と雪女は違います…!」
「いいから、」

俺を熱から解放してくれよ。と若に引き寄せられる。これ以上体をくっつけたら溶けてしまいそうだ。
心の蔵は耳元で音を荒げるし、自分の息までもが熱を孕む。これ以上傍にいたら余計に若を熱くさせてしまいそうだ。それなのに、離してほしくないと思う自分がいる。暇を持て余していた腕を若の背中へと回した。

「若…、どうしたら熱が冷めますか…?」
「そうだな、名無が…」

呟かれた言葉に私は眩暈がしそうだった。体どころか頭の芯までもが熱い。あわあわと慌てる私に若は意地悪く笑う。そんな綺麗なお顔で誘惑しないでください。若は本当に悪戯が過ぎます。

「な、名無。俺を守ってくれるんだろ?」

本当に、本当に今日はあつい日だった。




(初めての護衛)



ホントに続いた。
いろいろ詰め込んだらひどいことになった。なんというgdgd。
若キザったらしい(笑)さすがにくさいな。でも若だからいいよね←
一応設定的には元から若が名無さんを好きだった、みたいな、感じ?
で、いつもより身近で一生懸命頑張る名無さんについストッパーが崩れた、的な?
書いた本人が一番よくわかってないとかひどいな。
ちなみにぬら孫本命は牛頭さんです。かわいいかわいいよ牛頭丸。
毎度のことながらショタコンですみません。







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