2011/05/22 22:17
▽彼はヒーロー(SS/smbr・ソニック)



※スマブラXの話。デフォ名:名無




「hey!名無、どーしたんだ?そんな暗い顔して」
平原の大きな木の下で考え事をしていると、突然影が差したので顔を上げると青いハリネズミさんと目があった。
「ソニック…」
「なにか悩みごとでもあるのか?」
「んんん…、ソニックに言ってもしょうがないことなんだけど…」
悩みごとというか、なんというか、と言葉を濁しているとソニックは私の隣に腰を下ろす。たてた膝に肘をついてこちらを見てくるソニックに私はなんとなく逆らえなくなってしまって口を開いた。
「あのね、やっぱり私は女の子なんだなあって…」
「What?名無はもとから女の子じゃないか」
「そういうことじゃなくて、ほら、私って試合でいつもすぐ負けちゃって、たまに必死の思いで勝ってもみんなぴんぴんしててすぐ次の試合に出たりするでしょ?」
「humm…」
「それに戦っててもわかる。あぁ、私手加減されてるって」
そういうとソニックにも心当たりがあるのか少しだけ苦笑いをして視線を逸らした。やっぱりみんなそうなのか。あぁ、本当に自分が情けない。
「確かに私みたいな弱い奴に本気で戦う気にはなれない、よね…」

そこまで言うと次の言葉を発する前にソニックが口を開いた。彼の大きな眼に私がうつる。
「いや、名無は強いさ」
「…なんでそんなこと言うの。気休めなんていらないよ」
「No!気休めを言うなんて俺のガラじゃないね。本気で言ってるのさ」

ソニックの大きな目が笑う。そのまま彼は片手で私の手のひらを握った。白い手袋越しに暖かさを感じて、ちょっとだけ、ドキリとした。

「名無は強い。ほら、この手のひらだって毎日一生懸命修行してるから傷だらけなんだろ?こんなに努力してるやつが弱いハズないじゃないか」
「で、でも、私なんて負けっぱなしだし」
「努力の結果は簡単に出てくるものじゃないさ。それに一位になれなくても順位は上がってる」

確かに、最近は最下位になることは少なくなってきた(と思う)。傷だらけの泥だらけになってるけどちゃんと相手を倒す事が出来るようになったのだ。でもまさかソニックがそのことを知っているとは思わなかった。
「見ててくれてるん、だね…」
「Of course!大切な仲間のことだからな」
「ありがとう」

私が笑うとソニックはまた笑った。人懐っこいその笑顔に心が温かくなる。彼が誰からも好かれて、人気のある理由がわかった気がした。どうやら私もそのファンの一人になってしまったのだけれど。

ソニックのおかげでなんだか悩みごとは姿を変えてしまったようだ。私だって戦える。考えればサムスだってあんな綺麗な女性なのに男の子達と対等、それ以上に戦っている。弱さを性別のせいにしていた私の心が弱かっただけだ。

「私がまだまだ弱いだけだね。」
「でも、強くなってる」
「うん!」
「Nice Smile!」

ソニックは立ち上がってそのまま私の腕を引く。切れた草が舞った。

「悩みごとが晴れたところでメシにでもしようぜ。まだ食べてないんだろ?」
「うん。ソニックの好きなもの食べに行こう」
「Yes!じゃあ」
「チリドッグ、ね」

私が先手を打つとソニックは少しだけ面喰ってから笑う。そしてそのまま私の腕を引いた。
「早く行こうぜ!俺はもうお腹ぺこぺこなんだ!」
「ちょ、ソニックのスピードで走られたら、わああっ!」

音速のハリネズミさんは今日も一人、悩める少女を救ったヒーローなのでした。





「おい、緑。青いのに名無持ってかれてるぞ」「…ちょっと子リンにウサミミずきん借りてくる」「それは…卑怯、なのか…?」





きっとソニックさんは最後に名無さんをお姫様だっこしたに違いない。と信じている。新ソニでエリスを姫抱きしていたのが羨ましかったとかそんなげふんげふん。でもたしかソニックXでもクリスがお姫様だっこされてたような、ソニックって意外とそういうことさらっとやっちゃう人ですよね。人、人、ハリネズミの擬人化だから人、でいいんですよ、ね。

末尾の会話は、リンクと、誰でしょう。適当にその辺の剣士組でも。因みにDXもXも一緒にいる美味しい設定。








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