まんばちゃんと雷神様
「おーい姉御、ちょっくら話があ……。…姉御、それは西洋の包帯男の真似か?」
「やぁ薬研君…これは決してミイラ男のコスプレではないのだよ。色々と事情があってね」
「いったいどんな事情があれば全身に白い布を巻きつけられる事になるんだ?ん…?この布、山姥切のものか」
「触るな薬研っ…!!」
「うおっと。いったいどうした山姥切の旦那。姉御を縛って楽しむ性癖に目覚めたってんなら見過ごすわけにはいかねえぜ」
「こら薬研君!まんばちゃんはまだピュアピュアの赤ちゃんなんだからそういう事言わないの!!」
「赤ちゃんなんかじゃない…!…北の空を見てみろ薬研」
「北の空…?おお、ありゃ雷雲だな。遠くから微かに雷鳴が聞こえるぜ」
「あぁ、あれは雷神だ。どうやら人間というのは雷神の前で腹を出すとヘソを取られてしまうらしい」
「そりゃ聞いたことはあるがただの迷信だろう。ん…?まさか姉御のヘソが取られないように布でぐるぐる巻きにしてるってわけか?」
「フン…。こいつはだらしがないからすぐに腹を出して寝るし俺達と違って雷神に対抗する力もないからな。ヘソがなくなったと騒がれても面倒だから仕方なく隠してやってるだけだ」
「いやぁ〜顕現したての頃に雷様におヘソ取られちゃうぞーってまんばちゃんに言ったら本気にしちゃって毎度ぐるぐる巻きに隠されちゃってさ。これがほんとの神隠し?なんつって」
「笑えねえぞ〜姉御。あんまり旦那を甘やかしすぎると堀川の兄弟たちからクレームが来るんじゃねえか?」
「それだけは絶対に無い無い」
「おーい兄弟……あ、お姉さんと薬研君もここに居らしてたんですね!」
「邪魔させてもらってるぜ」
「やっほー堀川」
「あ、兄弟ってばまたお姉さんを雷様から守ってあげてるんだね」
「あぁ。こいつは貧弱だから仕方なくだ」
「偉いなぁ、流石は僕の兄弟!主さんのお姉さんを守るだなんてかっこいいよ!流石はこの本丸の初期刀!僕ら堀川三兄弟の誇りだよ!」
「あ、あんまり褒めないでくれ兄弟…!!」
「ご覧の通り私より実のご兄弟の方がベタベタに甘やかしてるからね」
「成程なぁ…」