万事屋とハンバーグ


「お邪魔しま〜す」

「あ、名前アル!いらっしゃいヨ〜!」

「こんにちはー神楽ちゃん。あのバカは?」

「頭から血ぃ流して寝てるアルよ。ほんっとどうしようもねえヨあの天パ」

「頭から血ってまたなんかしたのあのアホは。ったくも〜…よいしょっと。あー重かった」

「名前!それ食いもんアルか!?」

「夕飯の食材だよー。今日はひき肉が安かったから今晩はハンバーグ食べさせてあげるね」

「キャッホーーーウ!!!目玉焼きも乗っけていいアルか!?」

「んっふふ、目玉焼きどころかチーズも乗せちゃってもいいんだよ?」

「チーズも!?神ある!!名前は女神様アルーー!!」

「あはは、目玉焼きとチーズくらいでこんなに喜んでもらえるんだから私も作り甲斐があるってもんだよ」


勝手知る坂田家の冷蔵庫にスーパーで買ってきた食材を詰め込んでゆく。
色々買い込んできたつもりだったけど万年空っぽの冷蔵庫に粗方詰めこんでもまだスカスカの状態だ。
育ちざかりの女の子が居るってのになんちゅーこっちゃ。


「あれ、来てたのお前」

「うわ!出てくるなり全身血まみれとか引くわ〜…」

「うっかり定春の尻尾ふんずけちまって頭からガブりだよ。ったく誰が飯食わせてやってんのか分かってんのかっつーんだよあの犬っころ…」

「え、定春の尻尾は大丈夫だったの!?」

「そっちィイイ!?普通ここは銀さんの方心配するとこだろうが!!なにお前の中で俺の順位って犬以下なの!?」

「万屋カースト圧倒的底辺のアンタより可愛い定春の方を心配するのは当然でしょうが!おーい定春〜」

「万屋カースト三人と一匹しかいねえのに最底辺とかどんだけだよ!!っつーか俺ここの社長なんだけど!?ねえちょっとォオオ!!」

「クゥーン」

「おーよしよし痛かったねえ定春」

「大丈夫ヨ名前。さっき調べてみたけど痛みはもう引いてるみたいだったネ」

「ほんと?尻尾折れたりしてない?骨折ってアレ、最初は気づかなくても後からジンジン痛みがくるもんだからね!」

「マジアルか!!」

「ね〜ちょっと銀さんの方がとんでもねえ重傷負ってんの目にはいんねえのお前ら」

「定春ぅ〜ちょっとじっとしててね……うん、折れてはなさそうだね。でもちょっとだけ血が出ちゃってるなぁ…」

「定春ぅううう!!!薬とか塗っておいた方がいいアルか!?」

「犬に効くのかわかんないけど一応マキロンしておこうか。よいしょっと」

「キャウン!」

「はいはい良い子良い子〜。すぐに終わるからねー。痛いの痛いの飛んでけー!はい終わり!」

「わんっ!」

「名前ありがとネ!!!これで定春の怪我もすぐに良くなるアル!」

「あーー誰が銀さんの事も優しく撫でながらマキロン塗って痛いの痛いの飛んでけしてくんねえかなァァァー!!!そしたら一瞬で治っちゃうのにな〜この怪我ーー!!!」

「そういえば今日ぱっつぁんは居ないの?」

「新八ならまたあのアイドルの追っかけにいってるネ」

「じゃあ夜までには帰って来るかな。晩御飯用意してるからってメールしといてあげよっと。えーっと、新八君のアドレスは…」

「え、ちょっとなにこれ本格的に無視?名前テメッざけんなよ!!なにお前お母さん気どり!?うちの新八と神楽抱き込んでお母さんぶりてえならお父さんにももっと優しくしろっつーんだよゴルァ!!」

「銀ちゃんはお父さんじゃなくてただのバカ息子ネ。名前もこんなどうしようもない幼馴染が居て大変アルな」

「幼馴染って言うと聞こえは良いけど実際はただのベトベトに腐りきったヘドロみたいな腐れ縁だからね。あ〜せめて幼馴染美少女ヒロインとして私も甲子園に連れてってくれるようなお隣さんが欲しかったな〜。しかもあっちは幼馴染だけじゃなく他校の天才やらイケメンにまでモーションかけられてんだよ?ほんっと世の中不公平だわ」

「テメエごときで南ちゃんになれると思ったら大間違いなんだよこのブーース!!」

「流石銀ちゃんネ!幼馴染のツンデレがが何たるかを理解してるアル!!」

「いや感心しなくていいからね!おらさっさと風呂場行って血流してこい!したらマキロンでもなんでもぶっかけてやるよ!!それ終わったら名前様特製のハンバーグたらふく食わせてやっからよお!!」

「マジかよ!!?お、おおお前ハンバーグってあれか!?あの肉が丸く形成されてる茶色のアレの事か!?」

「そうだよ箸で一経ちすれば肉汁がじゅわっと溢れて来るアレだよ!!」

「しかも聞いて驚くんじゃねえぞ腐れ天パァ!!今回はなんとその上に目玉やきだけじゃなくもれなくチーズまで乗っているという神の所業アル!!頭がたけえんだよぉ!!!」

「名前様ァアアアアアアーーッッッ!!!!これまでの僕の貴方様に対するご無礼をお許しくださいィイイイイ!!!」

「分かればいいのよぉ分かれば…南ちゃんのように可愛い幼馴染である私は例え甲子園に連れてってもらえなくたって常に広い心でド腐れ馬鹿だろうが見捨てたりはしませんよ」

「「女神様〜〜〜〜!!!」」

「た、ただいまぁーー!!名前さん来てますよね!?家に帰るところだったんですけど夕飯がハンバーグだってメール貰って慌ててこっちに来ちゃいま…って、え…なにこの状況…なんで平伏してんのアンタら二人…」

「よぉーお帰りぱっつあぁん」

「晩御飯なら今から作るところだから手ぇ洗って待っててね〜新八君。あ、神楽ちゃんお膳の上拭いといてくれる?」

「ラジャーッス!!」

「やべっ、リンスきれてんだった…名前〜詰め替え用のリンス出してくんね?」

「はいはーい」

「え、なにこのアットホーム空間…」



2017.1.30
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