轟君のお友達A
友達ができた。相手は同じクラスの苗字名前という女で対人戦でグループを組んだり席が近いという事もあってクラスの中では一番よく話していた相手だ。
苗字は女のわりにサッパリとした性格で一緒に居て苦にはならないし友達になんのも嫌じゃない。
…でも今まで友達なんてできた事が無かったからどうしたらいいのか分かんねえんだよな。
「(友達同士っつーと……一緒に飯食ったりすんのか?)」
「轟くん昼休みだよー。食堂行かないの?」
「…苗字」
「ん?」
「一緒に飯食うぞ」
「おお!?えらく突然だね!?でも良いよ!じゃあお茶子達に今日は別で食べるって言ってくるからちょっと待っててねー」
「ああ」
そういや苗字はいつも麗日や緑谷と食ってんのか。
俺とは逆であいつはクラスの連中と仲良いからな。
「お待たせ〜。行こうか」
「おお」
「轟くんいつも食堂なんだよね。普段何食べてんの?」
「蕎麦。暖かくないやつ」
「蕎麦かー。私も蕎麦好きだよ〜。駅前に蕎麦屋さんあんの知ってる?」
「いや…美味いのか?」
「美味しいよ!手打ちだから喉越しが良いんだよね」
「へえ…美味そうだな」
「そうだ、じゃあ帰りに一緒に食べて帰らない?」
「……」
「あっ嫌なら全然良いんだけどね!轟君忙しいだろうし!」
「忙しくねえよ。ただ…放課後に寄り道って友達っぽいと思っただけだ」
「っぽいじゃなくて友達だからね。友達になった記念に私が奢るから行こうよ」
「いや、俺が奢るからいい」
「いやいやここは私の顔立てさせてよ。私が轟君に美味しいもの食べさせてあげたいんだから」
「!…そうか。ならご馳走になるか」
「よっしゃ!じゃあ放課後も一緒にご飯だね!さーてと、お昼ご飯は何にしようかなー。ラーメン…いやここはカツ丼か…。轟君は何にすんの?」
「蕎麦だ」
「蕎麦かよ!!!放課後も食べんのに!?」
「蕎麦好きだから良いんだよ」
「ブレねえ〜〜〜!!」
2016.6.28