轟君のお友達@



「あ、轟君おはよー」

「ああ」

「ふあ〜…眠い…」

「眠そうだな」

「昨日久しぶりに中学の友達とカラオケに行ってさー。つい遅くまで歌っちゃって寝不足ってわけですよ」

「カラオケか。よく行くのか?」

「時々ね。あんまり歌は得意じゃないけどストレス発散にもなるからねー。轟君はカラオケ行ったりするの?」

「いや…一行った事が無いな」

「えっええ!?行った事無いの!?一度も!?」

「ああ」

「ひ、ひえ〜〜…そうなんだ…まぁ確かに轟君がカラオケってイメージあんまりないかも…。じゃあ普段友達とは何して遊んでんの?」

「そもそも友達がいねえからな」

「……What??」

「今まで友達ができた事がねえ」

「……………嘘やん…えっ…小さい頃も…?同じ小中学校の子達とか近所の幼馴染とか…」

「ガキん時から毎日クソ親父に個性強化の修行をさせられたからな。親父の目を盗んで遊んだって兄弟と自宅の敷地内で遊んだくらいだ。学校の奴らは何故か俺を避けてたしな」

「ま、マジでか〜…確かに轟君って近寄りがたっ…雲の上の人って感じだから声かけづらいかも…」

「まあ友達なんて居ても居なくても同じだろ」

「いやいや、友達は大事だよ。自分が辛い時や困ってる時に支えてくれる相手がいるって良いもんだよ?一緒に居るだけで楽しいし」

「そういうもんか?」

「そういうもんだ。…っていうかさ、私的には轟君とはもう友達のつもりだったんだけどなー」

「……」

「ほら、席も近いしよく世間話もするし」

「席が近くて世間話をすれば友達なのか?」

「うーん…そうじゃないけど…轟君は私と友達になるのは嫌?」

「…別に嫌じゃねえ」

「じゃあ私たちは友達って事で良いじゃん」

「…そうか…」

「でへへ、なんか照れるね」

「友達って何をすりゃいいんだ」

「何って……あ、改めて聞かれると困るな…。轟君は友達に対してどんなイメージ持ってんの?」

「肩を組んで歩いたりすんじゃねえのか?」

「肩を組むか…やったことないけど折角だからいっちょやってみますか」

「おお」

「はい……どんな感じ?」

「よく分かんねえな」

「じゃあこのまま少し歩いてみようよ」

「ああ」

「………」

「………」

「えっ?なんか違くね?え?轟君これ楽しい?」

「…楽しくはねえ」

「だよねー!?なんか身長差ありすぎて腕痛いし!!轟君意外と背高いなオイ!!」

「176あるからな」

「高いなーー!!スペックたけえーー!!轟君みたいなイケメンで高スペックの人の友達第一号になるなんて私轟ファンに刺されたりしないかな…不安になってきたわ…」

「そん時は俺が守ってやるよ」

「え…何この人どんだけかっこいいの…少女漫画かよ…」





2016.6.28
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