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「何してるんすかノルさん」

「おめのつむじさ眺めとる」

「いやいや…なんで私のつむじ眺めてんの」


ソファーに座ってのんびり読書にふけているとノルさんが後ろから背もたれと私の背中の僅かな隙間にぐいぐいと自分の体を捻じ込ませてきた。
何やってんだこの人とツッコミたいのは山々だったがノルさんの奇行はいつもの事なので放っておいたんだけど、流石にまじまじと見つめられていると気になってしまうのだ。


「折角の休みなんだから何かすることとかないの、ノルさん」

「あんこの足さひっかけて雪ん中ダイブさせる予定はあんべ」

「うわぁえげつねえ…。そういうのじゃなくてさー。趣味とかなかったっけ?」

「アイスとお前の観察すんのが趣味みてぇなもんだ」

「だからつむじを眺めてたと?」

「んだ」

「……もっと良い趣味見つけようぜノルさん…」

「やんだ〜」


ぐりぐりと後ろ頭に頬擦りされる。
あ、これ甘えたいだけだな。ノルさんは二人っきりになると途端に甘え始めることがある。いつもはアイス君に対してお兄ちゃんぶりたがってるくせに…いやまぁ可愛いから良いんだけどさ。


「あ〜〜〜名前の作った里芋の煮っ転がしさ食べてぇ〜〜」

「えー今日の晩ご飯はポテトグラタンの予定なのに」

「にっころがし〜〜〜」

「しょうがないなー。じゃあ後でアイス君と里芋取ってきてよ」

「めんどくせぇ」

「ノルさんが食べたいって言ったんでしょうが」

「くそねみぃ」

「自由すぎるだろオイ」


益々背中に体重がかけられて本を読むどこではなくなった。
しばらくすると本当に寝息を立て始めたノルさんに仕方なく本を閉じ目を閉じる。
普段は低体温のノルさんも寝ているときは暖かい。眠気なんて感じていなかった私もすぐにうとうとと睡魔が襲ってきた。
遠くでカタン、とドアの開いた音が聞こえたかと思うとなにやらふんわりとした物に包まれる。


「あれ…アイス君」

「なに、寝てたんじゃないの」

「半分寝てた…帰ったんだね。おかえりー」

「うん」

「あれ、この毛布掛けてくれたのアイス君?ありがとねー」

「べつに…っていうかなんなのそれ」

「それってどれ」

「ノーレだよ」

「あー…今日はお休みだから」

「意味わかんない」


むすっと口をへの字に曲げるアイス君がソファーに寝転がり私の膝に覆いかぶさるようにして手元にあった本を開く。
なんだろうこの兄弟。すっごく可愛いけど重い。


「これなんの本?」

「料理の本だよー」

「ふーん…ねえ、今日の晩ご飯なに?」

「ポテトグラタン」

「…里芋がいい。煮物のやつ」

「わぁ…兄弟だねぇ〜〜」

「なんなのそれ。ほんと意味わかんないね名前って」

「へいへーい。後で里芋取りに行くの手伝ってね」

「やだ。眠い」


兄弟だなぁ…。



2014.8.13
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