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「な、何やってんのアイス君…」

「べつに。ほっといてよ」

「いやいやいや、すっごく気になるんだけど…そんなとこに居ると頭茹っちゃうよ」

「寒いんだからしょうがないでしょ。早く閉めてよ」


炬燵に頭から突っ込んでいるアイス君にめくった布団の隙間から冷気が入ると顔をしかめられた。
学校から帰ってくるなりパフィンと花たまごと言う名の湯たんぽを抱えこたつむりと化してしまったアイス君から熱がっているペット二匹を取り上げれば「わりぃな姉ちゃん」と鳥が鳴く。彼らと共に暮らし始めてしばらくたつけど未だにこの鳥が人間の言葉を話す謎は解明されていない。


「ちょっとやめてよ。せっかく暖まってきたのに」

「嫌がってるでしょうが。まったく若いのに寒がりなんてだらしないねえ」

「年寄り臭い事言わないでよ。これだからおばさんは…」

「おい今なんつったオイ」

「うわっ!!ちょっ、足引っ張らないでよ!?寒い!!セクハラ!!」

「だーれかババァだクソガキャア!!」

「何もババァなんて言ってない!!おばさんって言っただけ!!」

「おめたち、何騒いでんだっぺ」

「あ、おかえりなさーいスーさん」

「スヴィー!!早くこの人どうにかして!!」

「………ん、仲良さそうでよがったない」


アイス君の足を引っ張り炬燵から引きずり出していると頭に雪を乗せたスーさんが帰ってきた。
どうやら外は雪が本降りらしく騒ぐ私達を見て微かに微笑んだスーさんは居間の雨戸を閉め始めた。北欧的勘で今夜は積もると判断したのだろう。さすがは北欧人!!ヴァイキングの末裔!!


「もうやだ。名前のせいで体冷えちゃったじゃん」

「お姉さんをオバサン扱いした罰ですよ。ほらアイス君も自分の部屋の雨戸閉めておいでー」

「もー……行こうパフィン」

「俺ここで暖まってからお前一人で行ってこいよ!!」

「なにそれ生意気。パフィンのくせに」

「んだとテメーッ!!」

「こらこら喧嘩しないの……パフィンさんついてってあげてよ。アイス君寂しいんだよ」

「は?意味わかんない」

「しょーがねーなぁ」


ブツブツ文句を言うアイス君を見送り誰も居なくなった炬燵に潜り込む。
やっぱり冬は炬燵にみかんだねえ…。


「ひぇええーーっ!!寒かっペーーー!!!」

「あ。おかえりなさーい、デンさんノルさん。お疲れ様ですー」

「こたつこたつーー!!」

「ちょっ、狭い!!狭いから!!なんでわざわざ私の隣に入るんですか!?」

「あーったけえ…やっぱてっとり早く温もるには人肌が一番だっぺー…」

「あんこ、そこさ退け。邪魔だべ」

「ぐぇええっ!!」

「ほんどだ…おめーぬくいべな名前…」

「え…なに…なんなの状況…」


帰ってくるなり炬燵にもぐりこみ私を湯たんぽにするデンさんが蹴っ飛ばされのそのそとノルさんが私の体に擦り寄ってくる。
何やってんだこの人たち…。


「何すんだ兄弟〜!!俺の湯たんぽー!!」

「あんこは花たまごさ使っとけ」

「……生憎花たまごは俺んとこだべ」

「スヴェーリエェエ!!こうなったら…アイス!!アイスいねーのけ!?」

「なに、煩いんだけど」

「アイスーッ!!!!」

「ちょっ!?やめてよダンむさ苦しいやめて!!臭い!!!!」

「くさっ…!?」

「おめ、そりゃ加齢臭だべ…」

「だべな」

「デンさん明日から私の洗濯物と別に洗ってくださいね」

「冗談きつかっぺーーっ!!!」

「っていうか何やってんのノーレ。気持ち悪から離れなよ」

「そうですよノルさん。私そろそろ晩ご飯の支度しないといけないですし」

「今日の晩飯さなに?」

「肉じゃがっす」

「んならじゃが芋さごろごろした奴頼んべ」

「煮崩れしないよう善処します」

「いいから早く離れて。見苦しいよ」

「へーい」


ノルさんから離れて背中に感じていた温度が一気に下がっていく。
台所に向かえば窓から暗くなった辺りに深々と雪が降り積もっていくのが見えた。
今年の冬は一層寒くなりそうだ。


2014.8.13
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