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「なんだかなぁ…」

「へ〜そりゃ本気だね及川。名前に目をつけるなんてなかなか良い趣味してんじゃん…」

「私なんてなんの取り柄もない普通の女子高生だよ〜?視力悪いんじゃないのかな及川君…」

「悪けりゃバレーなんてできないってば。私は及川が名前を好きになった理由が分かるけどなぁ〜。名前って目立たないけど気がきくし頼られるせいかくじゃん。縁の下の力持ちって感じ?包容力もある」

「及川君は私に包容力を求めてるの?」

「知らん。まぁ付き合うことにしたんなら諦めなって」

「だって〜……」


これが及川君じゃなければこんなに悩まなかったよ、私だって…!
学年一、いや校内一人気のある及川君が相手なんだよ!ファンクラブまである及川様なんだよ!!
私みたいなヘボいなのがそんな及川君なんかと付き合ってたら反感かうに決まってんじゃん!
机にうなだれるようにして突っ伏せばやれやれと言わんばかりに望ちゃんがため息をつく。
ため息をつきたいのはこっちだ…。


「苗字さーん」

「名前、ほら及川来たよ」

「は、はい!」

「苗字さんさ、今日放課後の委員会の会議あるんだよね?良かったらでいいんだけどさ、一緒に帰らないかな〜なんて…」

「自分に惚れさす〜とかでかい口叩いといて弱腰じゃん及川」

「うっさいよ望ちゃん!っていうかなんでそれ知ってんの!」

「生憎名前と私は大親友なんだよ!」

「ご、ごめんね及川君…」

「べっつにいいけどさ!それで返事は!?」

「あ、え、はい」

「あっそ!じゃあ会議終わったら部室塔の近くで待っててよね!!」

「りょ、了解でーす……」

「んじゃまたね!!」

「………アンタがどんな風に告白に返事しちゃったかがよく分かったわ……問い詰められて軽はずみに返事すんのよくないよ」

「…分かってはいるんだけどね」

「っていうかあんな及川初めて見たわ。最初照れ臭そうにもじもじしてたのにからかったら照れ隠しで怒るし…」

「え!?あれ照れ隠しだったの!?私にだけ冷たいわけじゃなかったわけ!?」

「……あんたら意外と良いコンビかもね…」





2015.1.14



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