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「今度お前んちに苗字さんが遊びに来るんだって?」

「…なんでマッキ―がそれ知ってんの!?」

「まぁ風の噂ってやつで。まぁ良かったじゃん。人目を気にせず二人っきりになれんだろ?」

「さあね〜…ってうか苗字さんが俺んち来るの別に初めてなわけじゃないし」

「あー、そういや前に岩泉と3人で勉強したって言ってたな」

「そういう事」

「でも今回は二人っきりだろ?」

「まあね!」


意味ありげににやにやと笑うマッキ―にムッときて素っ気ない返事を返す。
確かに名前ちゃんと俺んちで遊ぶ約束はしてるけどさ!なんでマッキーがそれを知ってんの!?
まさかあの合宿での話を聞いてた奴が居るんじゃ…いや、でもあの時は確かに誰もいなかったし…。
岩ちゃんに知れると邪魔されそうだから内緒にしてたのにさ!!
岩ちゃんは何かと名前ちゃんの世話やきたがるからなぁ。確かにかなり鈍感だし抜けてるとこもあるから世話焼きの岩ちゃんが気に掛けるのも分かるけどさ。
でも名前ちゃんと付き合ってるのは岩ちゃんじゃなくて俺だからね!!折角勇気ふりしぼって家に誘ったんだし二人の時間を楽しみたいんだよ!!


「及川って苗字さんと付き合ってどんくらいたつっけ?」

「え?んー…もう1ヶ月はたってんね」

「ぶっちゃけどこまで行った?」

「……は?」

「はってお前…一緒に帰ったりしてんじゃん。キスくらいはしてんじゃねえの?」

「はあ!?そ、そんなのまだに決まってんじゃん!!」

「うわ、マジかよ。手が早い事で有名な及川君が?」

「わーわー!!マッキーおせっかい過ぎ!!俺と苗字さんはそういうんじゃないの!もっと純粋でプラトニックな関係なんだからさ!!」

「じゃあ一生触れなくてもいいわけ?お前は僧侶かっつーの」

「うっ…人のおせっかい焼いてないでさぁ、マッキーも彼女作りなよ」

「俺はいいの。あ、べつに早く苗字さんに手ぇ出せとかそそのかしてるわけじゃないかんな。俺もフツーに苗字好きだし。あの子見てっと及川が大事にしたいって思う気持ちもなんとなく分かるわ」

「……マッキ―……言っとくけど苗字さんは俺のだからね…」

「はいはい」


いつになくお節介なマッキ―とのやりとりに冷や汗をかいてしまった。
ったく、俺と名前ちゃんはピュアなんだから変な勘繰りはやめてほしいね。
…そ、そりゃそういう事したくないって言ったら嘘になるけどさぁ〜…。
一応付き合ってるって言っても苗字さんはきっとまだ俺の事そんな風に見れてないだろうし。いきなりそんな事すれば嫌われてしまうのが目に見えてるもんね。
本気で好きだからこそ大事にしたいし俺の事好きになってくれるまでいつまででも待つ気で居るしね。
……だけど名前ちゃんと俺の部屋で二人っきりなんてシチュエーションなんてあらぬ妄想が脳内を駆け巡っちゃうのは仕方のない事なんだよ!!
ちゃんと妄想だけで我慢するもんねっ!!
大丈夫大丈夫……はぁ……。


2015.2.25



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