05 あれだけアルコールを入れたのにも関わらず目覚めは意外といつも通りすんなりといくものだった。ディストはまだ心地良さそうにスヤスヤと寝息を立てていた。まだ起きる気配はない。リヴは内心ほっとしていた。昨夜ディストと交えたことを、酔いが冷めれば後悔するのではと。 寧ろ喜びを感じていた。だから安堵した。 眠る彼の鼻先をくすぐってみればムズムズと顔を歪める姿がかわいくて、止むことなく悪戯してしまう。 「かーわい」 まるで前からそうであったかのような雰囲気。関係が深まったのは昨夜であるにも関わらず、ディストの距離はこんなにも近い。程なくして擽るその手を掴まれてしまう。 「いい加減起きますよ」 少々不機嫌にディストは体を起こした。急にリヴは気恥ずかしくなった。染まる頬をみてディストは喉をクッと鳴らし、腕の中にリヴを収めてしまう。 「行きずりには入りませんか?」 「古臭い言葉。意味わかってる?怒るよ、サフィ」 ふふ、と笑いが込み上げる。行きずりの関係でないことの否定と、雪の街で過ごした遠い昔の呼び名。幾年の想いと記憶を、その日二人は打ち明け合った。 随分遠回りしちゃったね。サフィはあの頃から? ええ、幼い時から 貴女しか映っていなかった 今でも思ってしまうんですよ これは夢なんじゃないかって [←prev]|[next→#]|story top |