06 夢であるならどれだけよかっただろう。彼との記憶はその日を境に紡がれることはなかった。 ND2019・ノームリデーカン・レム・28の日、外殻大地降下を又にかけたこともあり、世界が混沌としている最中。その中でリヴは彼を見失ってしまった。否、彼自身が姿を消した。これが運命と謡うなら、星の記憶はあまりに非情だ。 あの日から3度、月が変わった。彼の行方は明らかでない。レムの塔へ向かったことを最後に。 「傍にいてって貴方が言ったんじゃない」 サフィ 「私貴方にすきって一度も伝えてないよ」 だいすき 私も貴方がだいすき あの日と同じく酔い潰れている中、あの日と違うのは隣に貴方がいないということ。涙の止め方が解らない。 「う…」 そのうち胸がムカムカしてくる。 「飲みすぎたかな」 気付けば化粧室に駆け込んでいた。 「げほっ」 胸部のむかつきが増し、吐き気が沸き上がってくる。そしてそれが収まった頃、どれだけ鈍いのか、驚いたような歓喜したような曖昧な笑いが込み上げた。、どれだけ自分に無関心なのか。笑いすら込み上げてくる。 「月の物、何時から来てないんだったっけ」 3ヶ月前。 貴方は大事なものを遺して去った。リヴは自身を抱き、泣いた。悲しい涙ではなかった。貴方の面影といっしょに、貴方と私の存在は、確かに続いてく。 貴方に言えなかった すきもだいすきも 愛してる、も この子に伝えてく 強くなりたいと願う心を 普く流れる星に託して。 叶うなら、もう一度貴方に触れたい [←prev]|[next→#]|story top |