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きっと背徳的に生きる術しかみつけられなかった。

みんな、そう。幸せの定義すら、巧くは創れない。

何かに理由がなければ行動すらできなくて、説明できないことを不純だと謡ってしまう。"問題"はいつでも刻が緩やかに解決してくれるのに、それが急いてしまっては、やはり不純なのだろうか。

サフィールはもういない。その寂しさを埋めるために、利用していると言っても否定ができない状況が、嫌なのだ。客観視しなくとも明白で、だから見合う理由が欲しくなる。

ただ、もう、偽れない。
理由が欲しくて、どうしようもなくやるせないけれど。

触れた唇が離れた時、リヴはジェイドの胸の中で泣いた。

「どうして?」

その問いは複雑だ。身籠っているのは、彼の子ではない。それを受け入れて歩む未来が、けして容易でないことは誰の目にも明らかなのだから。

「理由が必要ですか?」

頷けば、至極柔らかな笑みを魅せて、彼は言った。

貴方はただ憎めばいい、それだけですよ

「サフィールを思い出して私を憎むならそれを受け止める理由が、私にはありますから。いつだって隣にいましょう。いつでも、その息の根を止めれる様に」

「バカね…」

すきだから?
愛しているから?

そんなものは理由にすらならない。それすらも越えないと、二人はお互いの手をとりあえない。

それが不幸なのか"幸せ"なのか。
深刻なのか浅はかなのか。
正しいのか歪曲しているのか。

事実だけがただそこにポツリと在って、それを埋めたくて埋めたくてどうしようもないのに、その溝は深まるばかり。

「ジェイド、一つだけ言ってもいい?」

未だ触れそうな程に近い彼の吐息を感じつつ、リヴは言った。





私は
貴方を

すきにはならない



「勿論、知っていますよ」



言葉とは裏腹に、この上なく"幸せな"笑みがお互いに溢れた。好きや愛しているの言葉すら煩わしい。二人の間には似つかわしくない。
だからこうも言う。



サフィールの分も貴方が


隣にいて

いつも、いつでも






- E N D -







ハッピーエンドの定義なら棄てよう
愛を紡ぐ言葉すら必要ない

だからこれは"愛"じゃない





10/1/25up

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