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少し、間があった。

リヴは冷えきった料理に目を向けて、急ぎ過ぎたかな、と呟いた。緊迫した雰囲気が和むことはなかったものの、シンと鎮まる動悸に身が委ねるられている感覚。脈打つ鼓動が、聞こえてくる。顔を上げて、視線が交わるのを合図にジェイドは口を開いた。

"リヴをもう泣かせないで下さい"

「…と一言だけ」

後は…最期まで憎まれ口を叩かれましたよ、と微笑んで彼は言った。

「それはどういう意味なんだろうね?」
「貴女なら、わかるのでは?」
「…ううん。全然」

その偽りは、最後の抵抗。彼に、委ねた。














「あの鼻垂れの尻拭いなんてごめんですよ、私は」

その言葉が冷淡であったらどれだけいいだろう。

「貴女の移り気な恋心には迷惑甚だしい」

触れるその手が私の頬を打ったならどれだけいいだろう。

「けど…」

抱きしめた腕の中が振りきれる程に生易しいものであったならば…どれだけよかっただろう。

「貴女が愛しくてしょうがない」

引き返せないことと知りつつ、倫理も道徳も棄てて。拐われることに快感すら見出したリヴは、本当に愚かだと思う。

私の隣で
笑っていて下さい

サフィ。貴方がいない世界で、どうやって笑えばいい?もういない貴方の行き場のない願い、その答えをこの人に託してもいいですか?



10/1/20up

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