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行く先は白く途絶えた雪の中。

結局ジェイドとは軍を離れると云うのに一度も会うことのないまま、こうして生まれ育った街へと帰ってきた。考えられないことだがきっとピオニーの計らいなのだろう、彼のことだ、ふんぞりと勅命を降したに違いない。

発つ鳥が跡を濁さないよう、出来る範囲以上の職務は熟なしてきたものの、リヴが抜けた穴に収まる人材はなかなかいない。めまぐるしく職務に没頭しているであろう彼が容易に想像できて、申し訳ない気持ちが膨らんでいく。

「おかえりなさい、リヴ」

秀美な笑顔が彼女を迎えていた。

「ネフリー!ただいま」

久々の、しかも一番の親友もとい姉のような暖かな彼女との再会。思わず跳ねるように飛び付いてしまう。

「もう、いつまで経っても落ち着きのない子ね」
「うふふ、会いたかったよネフリー」

柔らかく、ネフリーは本当の姉の様に優しくリヴの頬を撫でた。

「部屋はあの時のままよリヴ、ただ少しばかり手入れをさせてもらったわ」

必要になるであろう諸々の雑貨を揃えてくれたネフリーの気遣いに胸がいっぱいになる。

「ありがとうネフリー…私…」

いいのよ、と微笑む彼女はその裏に抱えた不安と戸惑いを口にした。

「…後悔しないのね?」
「うん、もう決めたことだから」
「わかったわ。なら私にうんと世話を焼かせてちょうだいね」

ネフリーの言葉に目頭が熱くなるのを感じた。瞬きの度にぱたぱたと降る雫をネフリーは拭ってやる。涙はもう少し大事な時にたくさん残しておきなさいと告げられた言葉によって拍車がかかり、リヴはネフリーにしがみついてワンワン泣いた。



09/12/4up

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