お前の隣は続編 | ナノ

抱き締める

少しでもちひろと一緒にいたい。
だから雨が降ってて帰れないってのを理由に一緒にいようと思った。
そりゃ濡れて帰って風邪とか引いてほしくない。
けどそれと同じくらい一緒にいたいっていう気持ちもあった。

「ちひろー」

「あ、御幸。
もー私の話聞かずに電話切らないでよ」

「ごめんごめん、けどちひろが心配で。
雨に濡れたって言ってたし、てことは下着とか透けてんじゃねぇかと思って」

「…サイテー」

「はっは、嘘嘘」

まあ半分嘘じゃないけど。
今日の練習着は黒なんだなー。
おかげで透けてねぇし他の男に見られてなくてよかった。

「ちひろ」

「ん…ばか、御幸濡れちゃうよ」

「平気、ちひろの方が心配だし」

着替えを持ってないのか濡れた服のままでいるちひろを抱き締める。
濡れるよとか言いながら突き放さないのが可愛くて、きつく抱き締める。
ちひろほど濡れていない俺の服は次第に湿ってきて、そんなのお構いなしに抱き締め続けてちひろを感じる。

「ちひろ、キスしていい?」

「…ダメって言ったらしないの?」

「するけど」

「じゃあ聞かないでよ、ばか」

呆れたように笑うのさえ可愛く見えて、抱き締めたままそっと口付ける。

好き、好きだちひろ
もっとお前に触れたい

こんな思いを込めて、少し長めのキスをした。

「ん…み、ゆき…」

「ん?何?」

「誰か、来ちゃうかもしれない」

「見せつければいいじゃん」

「もう」

少しむくれた顔するちひろ。
いやそれ俺を煽るだけなんだけど。

けど無理にしたら怒られるかもしんねぇし下手したら殴られる。

仕方ねぇ、今日は我慢するか。

「倉持に連絡入れるわ」

「なんで?」

「傘と適当な着替え貸してもらうため。じゃないと帰れないだろ」

「あ、そっか。…ありがと」

一旦ちひろから離れて俺のタオルも貸してやってから、倉持に電話をかける。
わけを話したらちひろちゃんのためならと承諾してくれた。

「すぐ行く。10分以内に」

「もっとゆっくり来てくれてもいいけど」

「阿呆か!ちひろちゃんに手出すなよ!」

「へいへい。
つか俺がちひろの彼氏なんだけど。それ俺の台詞なんだけど」

俺の発言はツーツーという音が響いて倉持には届かなかった。
あいつ相当急いで来そうだな。

倉持を待ってる間、またちひろを抱き締めようかと思って近づいたけど、倉持来るからダメって今度は拒否られた。

こんなことなら雨が止むまでずっと抱き締めてりゃよかった。
なんて思ったけど別に明日も抱き締めりゃいいだけだってことで自分を納得させた。
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