迎えに行く
今日は一日倉持に鬱陶しいほどに絡まれた。 さすがに昼休みちひろと3人でいる時は変なこと言ってこなかったけど、ちひろがいなくなれば笑われて、初めて殺意に近いものを感じた。
そんなこんなで放課後。 雨は降ってないが黒い雲は広がったままでいつ雨が降ってもおかしくない。 それでも俺達は外で練習。
どうやらテニス部も外で練習するらしい。 出来れば雨に濡れてほしくないからテニス部は練習休みで早く帰ってほしかったけど、仕方ないから雨が降らないようにと願った。
「…マジでありえねぇ」
練習が始まって一時間。 外は土砂降り。 もちろん練習してた俺達はびしょ濡れ。
今日はもう練習は切り上げになったが傘持ってる奴は少なくて、雨が弱まるまで残って自主練する奴や寮まで走って帰る奴もいた。
「…どうすっか」
俺も傘を持ってない組。 自主練なあ…髪も濡れてるし着替えも濡れちまったし、まず雨のせいでやる気が削がれたし。 走って帰るか…なんて考えて鞄に目をやればちひろからメールが来ていた。
"雨、すごいね 私達みんなびしょ濡れ。御幸達は?"
やっぱちひろも濡れたのか。 そういや傘持ってないって言ってたけど、どうやって帰るつもりなんだ。 まさか濡れて帰るとか、言わないよな。
"俺達もびしょ濡れ お前どうやって帰るの?"
まさかなと思いつつ返信したらすぐに"走って帰る"って返信が来た。
「あのバカ…」
文字打ってる間に帰られたら困るから、とりあえずすぐに電話した。
「もしもし?どうしたの御幸」
「お前今どこいんの」
「え、どこって、二年の靴箱んとこ」
「すぐ行くから待ってろ、いいな」
「え、あ、ちょっと御幸っ」
何か言いたげだったけど俺から一方的に電話を切って、急いでちひろの元へ向かった。
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