お前の隣は続編 | ナノ

目を合わせる

俺はまたちひろを避けてる。
前にも同じように避けて傷つけたってのに、また避けて傷つけてる。

俺はちひろを傷つけることしか出来ないのか。
離れても、傍に居ても、傷つけてばかりだな。

ちひろは俺に何か話したそうにしてる。
多分私は大丈夫だからって俺を許すための話なんだろう。
けどそれじゃダメなんだよ。
それじゃ、結局ちひろの優しさに甘えるだけになるんだよ。

俺は変わらなきゃいけない。
だから何もせず許してもらうわけにはいかねぇんだ。

だから、今はまだちひろと向き合うわけには…

「おい御幸」

「なんだよ。練習行きたいんだけど」

「いいから待てって」

何だってんだよ人が考え事してる時に…どうせちひろのことだろ。
また説教でもする気か?
まあでも今の俺には言い返す資格もないけどな。

むしろ思いっきり罵ってくれた方がいい薬になるかもしれない。

放課後ってのもあってぞろぞろと出ていくクラスの奴ら。
動かないのは俺と倉持だけ。

そして出ていく人だかりの中に、教室へ入ってくる奴がひとり。

…ちひろだ。

「…一也」

「っ、悪い、俺行くわ」

「ヒャハハ、逃がすかっての」

「てめ、倉持、何の真似だ!」

「私が、頼んだの。
一也捕まえててって」

また俺は逃げようとした。
けどそれは倉持の羽交い絞めによって阻止される。
そういや倉持は俺よりちひろの味方だったな。
放せと言ったところで放してくれるわけはなくて、無駄な抵抗はやめた。

目を合わせることが出来ない。
あの時のちひろの姿を思い出してしまいそうで、守れなかった悔しさと後悔とが押し寄せてきそうで、顔を見れなかった。

「一也」

「…」

「…とりあえず、その顔引っ叩いていい?」

「なっ」

無言で反応しないでいたら想定外の言葉が出てきて、思わずちひろの方を見た。

いつも笑いかけてくれるちひろからは想像も出来ないくらい、真剣な顔つき。
今までこんな真剣な顔は見たことがなかった。

そのせいもあってか、一度目が合ったら逸らすことが出来なかった。
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